今回解説していく通貨は南アフリカ・ランド円です。日銀の利上げ決定と追加利上げ方針の示唆、米国景気への懸念台頭によって、株式・為替市場は急変動に見舞われました。日経平均株価は今週に過去最大の下げ幅を記録、ドル円もわずか1カ月の間に20円超の急落となり、当然ながらランド円も含めたクロス円もその影響を大きく受けています。非常に不安定な相場が続いていますが、チャート上で改めてランド円の状況を確認していきましょう。
ランド円の週足分析
下図のチャートはランド円の週足チャートになります。前回の分析(5月15日)からどのように推移したかを見ていきますと、昨年5月安値を始点とした上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)に沿って上値を伸ばし、前回に上値目処として示した2022年6月高値の8.81円付近(チャート上の丸で囲った部分)をブレイク。7月には一時8.97円まで上昇する場面も見られました。
ただ、その後は皆さんもご存知通り円相場は急伸(ランド円は急落)し、前述した上昇トレンドラインを下抜け。1年3カ月近く上昇トレンドもいったんは終了した格好となっています。
また、チャート下部に追加した「DMI」でも当然ながら-DI>+DIとなっており、現在が下落トレンドであることを示唆。DMIでも今年年初からの上昇トレンドは終了したようです。
ランド円の月足分析
今度はより長期の視点でもランド円の動向を確認していきましょう。下図のチャートはランド円の月足チャートになります。
2020年4月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)ですが、こちらは辛うじて無事なようです。今年の上昇局面で直近の戻り高値である2018年2月高値の9.29円(チャート上の丸で囲った部分)を超えられなかったことは痛いですが、まだ大きな上昇トレンドは生きているとみてもよいでしょう。
今回は「一目均衡表」も追加しましたが、転換線>基準線と価格線>雲は維持しているものの、遅行スパンが価格線を下回っており、強い買いシグナルとされている「三役好転」は消滅。
ただ、昨年5月の下押し局面では雲の下限がサポートとして機能しているようにも見えるため、現在の下落局面でも月足・一目均衡表の雲はサポートとして意識されるかもしれません。前述した上昇トレンドラインと併せて今後も注目しておきましょう。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。期間内に日本・南アフリカの金融政策の発表は予定されておらず、注目は日本の全国消費者物価指数(CPI)となります。現在の相場状況のきっかけとなった日銀の金融政策を巡っては市場も非常に神経質になっているため、9月19-20日の次回日銀金融政策決定会合の行方を占う上で、いつも以上にCPIには注意が必要となるでしょう。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
8月21日 南ア 7月消費者物価指数(CPI)
8月23日 日本 7月全国CPI