今回解説していく通貨はポンドドルです。英国ではインフレ率が緩和傾向にあるものの、依然として他の主要国と比較すると高水準にあり、追加利上げを行う可能性についても完全には排除できない状態です。一方で経済状況は弱く、今後もイングランド銀行(英中銀、BOE)は難しいかじ取りを迫られることになるでしょう。では、チャート上でもポンドドルの状況を確認していきましょう。
ポンドドルの週足分析
下図のチャートはポンドドルの週足チャートになります。前回の分析(8月23日)からの変動を見ていくと、2014年7月高値を始点とする下降トレンド(チャート上の青色実線)が機能した格好となり、年初からの買い戻しは一服。再び売りに押される状態となっています。
また、今回追加した「一目均衡表」によると足もとで低下中の基準線が転換線を下抜けており、遅行スパンも価格線を下抜けて推移しています。下落中の価格線は一目均衡表の雲に接近しており、この雲を下抜けると強い売りサインとされる「三役逆転」が成立するため、ここからの展開は今後を占ううえでも重要なポイント。
もっとも、一目均衡表の雲はサポートとして機能するケースもあるだけに、今後切り上がっていく予定の一目雲上限を維持できるか確認しておきたいところです。
ポンドドルの日足分析
今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。今年7月14日につけた高値1.3142ドルを起点として新たに下降トレンドライン(チャート上の青色点線)を加えてあります。
週足分析で確認した通りに現状では下落トレンドとなっており、ここからの下値ターゲットは節目の1.2000ドル、さらに3月につけた年初来安値の1.1804ドル(チャート上の丸で囲った部分)となるでしょう。特に後者を下抜けると昨年9月につけた直近安値1.0350ドルを目指して下値余地が拡大するため重要なポイントとなりそうです。
その一方でチャート下部に加えた「MACD」によると、7月以降はしばらく負の値(下降トレンド)を示していましたが、今月に入って正の値(上昇トレンド)へと転換。短期的には反発(もしくは下落トレンドの調整入り)の可能性も出てきました。前述した下降トレンドラインは本日(10月25日)時点で1.22ドル台後半、1カ月後には1.2000ドル前後まで低下する見込みとなっており、目先はこのラインの上抜けを目指したいところです。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は11月1日、2日と並んでいる米英の金融政策になるでしょう。両国とも今回は金利が据え置かれる可能性が高いですが、声明文や中銀総裁の発言などに注意が必要となります。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
10月26日 米国 7-9月期四半期実質国内総生産(GDP、速報値)
10月27日 米国 9月PCEコア・デフレーター
11月1日 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)、金融政策公表(会合後にFRB議長の定例記者会見)
11月2日 英国 イングランド銀行(英中銀、BOE)、金融政策公表
11月3日 米国 10月雇用統計
11月10日 英国 7-9月期四半期GDP、速報値
11月14日 米国 10月消費者物価指数(CPI)
11月15日 英国 10月CPI