前回の「ダウ理論」に続いて、今回は「エリオット波動」について解説していきます。エリオット波動を理解することで、現在の相場がサイクルの中のどの位置にいるのか、天井や底が近いのかなどが予想しやすくなりますので、しっかりと覚えておきましょう。
エリオット波動の基礎
エリオット波動では基本形として、強気局面では「上昇5波、下降3波」から形成されます。上昇5波のうち1波、3波、5波が上昇相場の推進波。2波、4波が修正波となります。一方、下降3波ではa波、c波が下降相場の推進波。b波が修正波です。以下でそれぞれの特徴をみていきましょう。
第1波
1波は通常3つの推進波(1波、3波、5波)のうちで最も短いとが多いです。
第2波
1波の調整局面。修正率は第1波の上昇幅に対する50-62%程度に収まることが多いとされています。また、原則として第1波の始点と下抜ける修正にはなりません。
第3波
3波は通常3つの推進波(1波、3波、5波)のうちで最も長く、最も力強くなる傾向にあります。また、原則として第3波が3つの推進波(1波、3波、5波)のうち最短となることはあり得ません。第3波の上昇幅は第1波の上昇幅に対する1.38倍や1.50倍、1.62倍などになりますが、1.62倍となる可能性が高いとされています。
第4波
3波の調整局面です。原則として調整は第1波の頂点よりも高い水準までにとどまり、第1波の頂点と重なることもありません。
第5波
3つの推進波の最終局面になります。第3波ほどの力強さは感じられず、その後に下降へと向かいます。
a波
下降の推進波(a波、c波)のうちの一つ。「上昇トレンドにおける調整」なのか、「下降のa波」に入ったのか判断が難しく注意が必要です。
b波
a波の調整局面にあたりますが、場合によっては下落前の高値を目指して反発することもあります。
c波
下降の推進波(a波、c波)のうちの一つで、a波で形成した底の水準を下抜けて下落していきます。この時点になると他のテクニカル指標でも売りシグナルが数多く点灯します。
以上が基本となる8つの波ですが、これらはそれぞれ小規模な波に分類されます。具体的には上昇の推進波(1波、3波、5波)と下降の推進波(a波、c波)はそれぞれ5波に、修正波(2波、4波、b波)はそれぞれ3波に細分され、合計34波で形成されることになります(下図)。
ダウ理論との共通点
さて、上昇の推進波(1波、3波、5波)で述べた特徴ですが、これは前回解説したダウ理論の「(3)長期トレンドには3つの局面がある」の3局面と似通っていることが分かると思います。
また、第2波や第3波の解説で述べた「50-62%程度」や「1.62倍」などの数値は以前に解説した「フィボナッチ比率」を使用していますね。ダウ理論やフィボナッチ比率についても改めて確認しておきましょう。