今回解説していく通貨は豪ドル円です。世界的に中銀が金利引き下げ方向へと動くなか、豪準備銀行(RBA)は緩和方向へと動かず、年間を通して政策金利を維持(4.35%)。日銀も前回の分析(9月4日)から政策金利を維持しており、追加引き締めは年明け以降に持ち越しとなりました。日・豪間の金利差縮小はあまり進まなかったものの、来年以降は徐々に進行すると予想され、豪ドル円相場への影響も気になるところです。では、チャート上でも豪ドル円の状況を確認していきましょう。
豪ドル円の週足分析
下図のチャートは豪ドル円の週足チャートになります。前回の分析(9月4日)からどのように推移したかを見ていきますと、上下しながらも総じて底堅く推移し、11月7日には一時102.41円まで上昇。足もとではやや調整が進んでいる状況にあります。
2020年3月安値を起点とする上昇トレンド(チャート上の黄色点線)については前回の分析でもお話した通り、いったん終了。現在は同じく2020年3月安値を起点とする新たな上昇トレンド(チャート上の黄色実線)内にあるという認識でしょうか。それぞれ有力を思われるチャネルラインも付加してありますが、以前よりも上昇の勢いが穏やかになったことが分かります。
また、今回のチャート下部に追加した「MACD」で確認すると、足もとの状況はMACDが直近でプラス圏を回復できずに反落するなど下降トレンドが継続していることを示唆。このまま新たな上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)を試しにいき、さらに下値リスクが拡大・・・といった可能性も否定できないところです。
豪ドル円の日足分析
では、直近の下値リスクに関して短期的な視点からも探ってみましょう。下図のチャートは豪ドル円の日足チャートになります。チャート内の黄色実線は週足分析で紹介した新たな上昇トレンドラインです。
7月の急落局面からセリングクライマックス(8月5日)までの期間を除くと、短期的には9月11日安値(チャート上の赤丸で囲った部分)を起点とする穏やかな上昇トレンド(チャート上の黄色点線)が展開しているように見受けられます。
週足分析で指摘したような下値を探りにいく展開を迎えるためには12月5日につけた直近安値の95.52円(チャート上の青丸で囲った部分)を下抜けるのが最低条件。次いで9月11日安値(93.59円、チャート上の赤丸で囲った部分)を下抜ける必要があります。
チャート下部に追加した「DMI」では-DI>+DI(下落トレンド)を示しているものの、足もとでは-DIと+DIが接近。さらにトレンドの強さを示すADXも上昇一服となっており、はっきりとした下落トレンドとは言い切れない状態です。いずれにしてもしばらく様子を見る必要があるでしょう。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は日銀の金融政策。植田総裁は12月会合後の会見で早期利上げに慎重な姿勢を示しましたが、1月の次回会合が近づくにつれて観測報道などが盛んに報じられ、円相場が右往左往するといった可能性があるため注意が必要です。また、期間内に政策決定理事会は予定されていないRBAですが(次回は2月17-18日)、RBAの金融政策を占う上でCPIなど豪州の物価動向はしっかりと確認しておきましょう。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
1月8日 豪州 11月消費者物価指数(CPI)
1月23-24日 日本 日銀金融政策決定会合
1月24日 日本 12月全国CPI