今回解説していく通貨はポンド円です。英国では4日に行われた下院総選挙で労働党が大勝。14年ぶりの政権交代が実現しました。また、英中銀(BOE)は今年に入ってから金利据え置きを続けており、市場では利下げの開始時期を巡って神経質な状況が続いています。英政局・金融政策ともにしばらく注視する必要がありますが、チャート上でもポンド円の状況を確認していきましょう。
ポンド円の週足分析
下図のチャートはポンド円の週足チャートになります。だいぶ間が空きましたが、前回の分析(昨年12月27日)からの推移を確認すると、今年に入ってから買い基調が強まり、4月には2015年につけた高値の195円台(チャートの丸で囲った部分)を突破。そのまま200円台の大台乗せもクリアし、足もとではさらに上値を伸ばしています。
長期視点では2020年3月安値を始点する上昇トレンド(チャート上の黄色実線)、昨年3月安値を始点とするより急角度の上昇トレンド(チャート上の黄色点線)も機能しており、しっかりとした上昇トレンドが維持できているようです。
また、今回チャート下部に追加した「MACD」でも、今年に入ってからプラス圏を取り戻し、買いシグナルが点灯しています。現時点での週足チャートでは順調そのものと言って良さそうです。
ポンド円の月足分析
では、今後を占うためにより長期のトレンドも確認しておきましょう。今度は月足で見ていきます(下図のチャート)。チャート上の黄色実線および黄色点線は週足分析で紹介したものと同じものです。
チャート下部に付加した「DMI」によると、はっきりとした+DI>-DIとなっており、トレンドの強さを示すADXも上昇傾向。月足ベースで見ても上昇トレンドは揺るぎないようです。
ということで今後の上値目処に目を向けると、まずは2008年7月高値の215.88円(チャート上の赤丸で囲った部分)や2007年8月に下押しした水準である219.36円(チャート上の青色実線)などが目につきます。この辺りを含めて節目の220円を上抜けてくると、2007年11月高値の241.39円や同年7月高値の251.14円(いずれもチャート上の青丸で囲った部分)まで上値余地も拡大することになるでしょう。
ここまで上向きの話が中心でしたが、足もとの上昇が急ピッチである分、今後の調整局面では相応の値幅を伴う可能性もあります。基本的には押し目買い方針で問題ないと思われますが、定期的に状況の変化がないかなど確認は怠らないようにしたいところです。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は日・英の金融政策。日銀については国債買い入れ額の縮小に加えて、追加利上げへの思惑も高まりつつあります。一方、英中銀は金利を据え置く見込み。直近の票決では7対2で金利据え置きが決定されており(2名が0.25%の利下げを主張)、今回も票決の行方に注意しておきましょう。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
7月17日 英国 6月消費者物価指数(CPI)
7月19日 日本 6月全国消費者物価指数(CPI)
7月30-31日 日本 日銀・金融政策決定会合
8月1日 英国 英中銀、政策金利発表
8月1日 英国 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨