今回解説していく通貨はトルコリラ円です。トルコ銀行(中央銀行)は6月からエルカン総裁の下で金融政策方針を大きく転換。3カ月あまりで政策金利を8.50%から25.00%まで大きく引き上げました。かつては「インフレ状況での利下げ」を主張していたエルドアン大統領も「トルコは金融引き締め政策でインフレ抑制する」と発言するなど、中銀の方針を支持しており、トルコ金融当局はようやく一枚岩になった格好です。
次回の金融政策は来週(21日)に予定されていますが、その前にチャート上でもトルコリラ円の状況を確認していきましょう。
トルコリラ円の週足分析
下図のチャートはトルコリラ円の週足チャートになります。前回の解説(7月19日)からの推移を確認すると、売り一服からの穏やかな買い戻しが進んでいます。今回チャートに追加した「一目均衡表」によると、基準線>転換線、抵抗帯(雲)>価格線、26日前の価格線>遅行スパンの状態となっており、現在も三役逆転(下降トレンド)が点灯中。特に価格線と一目雲の関係を見てみると、ここ数年に渡って一度も価格線が雲を上抜けたことがなく、相場の重しとして機能していることが分かります。
また、今回はチャート下部に「DMI」も追加してあります。足もとの買い戻しにもかかわらず、-DI>+DIの状態が続いており、依然として現在が下降トレンドであることを示唆。どちらのテクニカル指標でみても、足もとの買い戻しによって本格的な相場反転には至っていないことが示されました。
トルコリラ円の日足分析
では本格的な反転を迎えるにあたり、ポイントとなる水準はどこになるでしょうか。今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。
目につくのは6月後半につけた直近高値の6.05円付近や2021年12月20日安値の6.17円付近でしょうか(いずれもチャート上の青色実線)。これらの水準をしっかりと上抜けてくれば買い戻しの勢いも強まるでしょう。その他には昨年10月高値を始点とした下降トレンドライン(青色点線)などもレジスタンスとして意識されそうです。
一方、下値は今年の7月18日安値を始点とした上昇トレンドライン(黄色点線)をまずは意識。ただ、同線の下抜けよりも7月18日につけた過去最安値の5.11円、心理的な節目の5.00円などがより重要な目処となりそうです。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は日本とトルコの金融政策。市場では今回もトルコ中銀は5%程度の大幅利上げを実施するとの見方が広がっています。その一方で植田日銀総裁も今月に入って「マイナス金利政策の解除を含めいろいろなオプション(選択肢)がある」と言及し、日銀の大規模金融緩和政策の修正観測も高まりつつあるようです。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
9月21日 トルコ トルコ中銀、金融政策決定会合
9月21-22日 日本 日銀金融政策決定会合
9月22日 日本 8月全国消費者物価指数(CPI)
10月3日 トルコ 9月CPI