今回解説していく通貨はポンドドルです。英国では金融政策委員会(MPC)が遂に前回の8月会合で利下げへと転換。今週の会合では金利据え置きが見込まれていますが、前回の金利引き下げ判断も5対4の僅差で決定されていたこともあり、今回の会合でも9名のMPCメンバーによる投票行動が注目されます。
では、チャート上でもポンドドルの状況を確認していきましょう。
ポンドドルの週足分析
下図のチャートはポンドドルの週足チャートになります。前回の分析(5月29日)からの変動を見ていくと、7月に入ってから昨年7月高値を始点とする下降トレンドライン(チャート上の青色点線)をブレイクして、「ペナント」と呼ばれる局面は終了。勢いそのままに2014年7月高値を始点とする下降トレンドライン(チャート上の青色実線)も上方向にブレイクしました。
これで2014年以来、10年以上続いた下落トレンドが転換した可能性も高まってきました。最終的なトレンド転換の判断は前回高値(2021年6月につけた1.4248ドル)超えが達成できるかに委ねられることになりますが、今後は同水準やそれより手前の2022年1月高値(1.3749ドル)などを目標として、上値を試していくことになるでしょう。
今回チャート下部に追加した「DMI」でみても+DI>-DIとなっており、現在が上昇トレンドを示唆。さらにトレンドの強さを示すADXがようやく上昇傾向に転じたことも好材料と言えそうです。
ポンドドルの日足分析
今度は下値目処について、日足チャートから確認していきましょう(下図のチャート、9月16日執筆時点)。下降トレンドライン(チャート上の青色実線)は週足分析と同じものです。さらに前回の分析で「ペナント」形成時に利用した昨年10月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色点線)、2022年9月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)も加えました。
目先のサポート水準としては9月11日安値(1.3002ドル)や8月8日安値(1.2665ドル)などの直近安値(いずれもチャート上の丸で囲った部分)がまずは意識されるでしょう。その他では前述した2本の上昇トレンドラインも下値を支える目処になります。この中でも特に2022年9月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)と8月8日安値を下抜けた場合は、相場の調整色が強まることになるので注意が必要です。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は今週の米・英の金融政策になるでしょう。まずは本日公表されるFOMCの金融政策に注意が必要となります。今会合から利下げ開始となることは決定的となっていますが、利下げ幅については明確なコンセンサスが出来上がっていないようです。また、今回のFOMCでは経済・金利見通しも公表予定となっており、メンバーによる政策金利水準の分布図(ドットチャート)に注目が集まるでしょう。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
9月18日 英国 8月消費者物価指数(CPI)
9月17日-18日 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)
9月19日 英国 イングランド銀行(英中銀、BOE)、金融政策公表
9月27日 米国 8月PCEコア・デフレーター
10月4日 米国 9月米雇用統計
10月10日 米国 9月CPI
10月16日 英国 9月CPI