今回解説していく通貨はNZドル円です。前週に開催されたNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策決定会合では政策金利の据え置きを決定。声明文では「金融政策は引き続き制限的である必要がある」などと言及した一方、金利見通しで今後の追加利上げの可能性が低下したこと、2025年になるまで利下げはないことなどが示されました。RBNZがしばらく金利を据え置く可能性が高まるなか、今度は日銀の金融政策がNZドル円相場のカギを握ることになるのでしょうか。
では、チャート上でもNZドル円の状況を確認していきましょう。
NZドル円の月足分析
下図のチャートはNZドル円の月足チャートになります。前回の分析(11月8日)からどのように推移したかを見ていきますと、2020年3月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)は引き続き機能しており、2月には一時93.45円まで上昇。2015年1月以来となる高値をつける場面も見られました。
その一方で前回の分析時に今後のターゲット水準として指摘した2014年12月高値の94.05円や2007年7月につけた過去最高値の97.79円(いずれもチャート上の青色実線)の上抜けには失敗。特に2月は前者の上抜け失敗後に伸び悩むかたちとなり、上ヒゲを伸ばして引けたため、ここから調整が入る可能性も気になるところ。その辺りの調整余地について週足で確認しておきましょう。
NZドル円の週足分析
今度は週足でも見ていきます(下図のチャート)。2020年3月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)や2014年12月高値の94.05円や2007年7月につけた過去最高値の97.79円(いずれもチャート上の青色実線)は月足分析で紹介したものと同じものです。今回はさらに「一目均衡表」もチャートに加えてあります。
月足でも確認した通り、現状ではしっかりとした上昇トレンドが続いているようです。一目均衡表でも①基準線が横ばいもしくは上昇している状態で転換線が基準線を上回る、②現在の価格線が抵抗帯を上回る、③遅行スパンが26日前の価格線を上回る、を全て達成して強い買いシグナルである「三役好転」の状態が維持されています。
また、過去の推移をみると上昇トレンドが継続する中で、サポートとして機能してきた水準が一目均衡表の抵抗帯(雲)から基準線、基準線から転換線へと徐々に上方へとスライドしているようにも見えますね。今年に入ってからの動きを見る限りだと一目転換線がサポートとして機能している様子です。
月足分析で解説したように目先は一時的な調整が進む可能性もありそうですが、その際の下値目処として週足の一目転換線や基準線などが意識される可能性もあるでしょう。また、その他の水準としては2月1日につけた直近安値の89.26円(チャート上の丸で囲った部分)などもサポートになりそうです。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきましょう。NZ準備銀行(RBNZ)の金融政策決定会合を通過したばかりとあって、目先は日本のイベントが中心となります。日銀が注目する春闘の結果を受けて3月会合でマイナス金利解除へと踏み切るか注目です。NZドル円も含めたクロス円全般に影響を及ぼすことになるでしょう。なお、次回のRBNZ金融政策決定会合は4月10日に予定されています。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
3月中旬 日本 春闘の集中回答日
3月18-19日 日本 日銀金融政策決定会合
3月22日 日本 2月全国消費者物価指数(CPI)