今回解説していく通貨は豪ドル米ドルです。豪州ではインフレ再加速の兆候が見られて始めてきました。5月の消費者物価指数(CPI)は前年比4.0%の上昇と昨年11月以来の高水準を記録。豪準備銀行(RBA)のインフレ目標(2-3%)が遠ざかりつつあるなか、RBAの次回理事会(8月5-6日)に注目が集まっています。RBAが昨年11月以来となる再利上げに踏み切るのかがポイントになりますが、チャート上でも豪ドル米ドルの状況を確認していきましょう。
豪ドル米ドルの週足分析
下図のチャートは豪ドル米ドルの週足チャートになります。前回の解説(4月10日)からの推移を確認すると、2020年3月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)がサポートとして機能し、その後は下値を切り上げる展開に。昨年2月高値を始点とする下降トレンドラインを一時は上抜ける場面も見られました。
もっとも、長期視点では2021年2月高値を始点とする下降トレンドライン(いずれもチャート上の青色実線)は維持できており、トレンドの転換が起きたわけではないようです。
ここからですが2020年3月安値を始点とする上昇トレンドラインが機能していることを考慮すると、前週解説したNZドル米ドルと同じく「三角保ち合い」となっている可能性がありそうです。
その一方で、きれいな保ち合いが現れたNZドル米ドルと違って、豪ドル米ドルは長期の下落トレンドが続いている可能性も捨てきれません。足もとの下押しで2020年3月安値からの上昇トレンドラインをブレイクすると、4月19日のつけた直近安値の0.6363米ドル(チャート上の丸で囲った部分)を下抜けて、「チャネルライン」(チャート上の青色点線)まで下値余地が拡大・・・という流れも容易に想像できるため、もう少し様子を見ておきたいところです。
豪ドル米ドルの日足分析
今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。チャート上の青色実線や青色点線、および黄色実線は週足チャートで紹介したものと同じです。また、今回の日足チャートでは「一目均衡表」も加えてあります。
一目均衡表で確認すると、現在は転換線<基準線、遅行スパン<26日前の価格線の状態となっており、価格線が抵抗帯(雲)を下抜けると、強い売りシグナルとされる「三役逆転」が点灯します。一目均衡表の雲下限は来週以降に下値を切り上げていくため、今週中に値幅を伴った反発が見られない限りは「三役逆転」を迎えることになりそうです。短期的には下値リスクに警戒しておきましょう。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は豪米の金融政策。豪州では利上げ観測、米国では利下げ観測が高まりつつあり、それぞれの中銀がどのような政策方針を示すか注目です。また、本日(7月31日)には豪準備銀行(RBA)理事会前の最後のインフレ指標が公表となり、結果を受けて豪ドル相場が動意づく可能性もあります。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
7月31日 豪州 6月消費者物価指数(CPI)
7月31日 豪州 4-6月期CPI
7月30-31日 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)
8月2日 米国 7月米雇用統計
8月5-6日 豪州 RBA理事会
8月14日 米国 7月CPI
8月22-24日 米国 ジャクソンホール会議
8月28日 豪州 7月CPI
8月30日 米国 7月PCEコア・デフレーター