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第91回 豪ドル米ドル、上方向は攻めづらい

今回解説していく通貨は豪ドル米ドルです。豪準備銀行(RBA)は今年に入ってからの理事会(2月6日、3月19日)でいずれも政策金利を据え置きましたが、2月理事会の声明文で「さらなる金利上昇の可能性を排除することはできない」としていたところ、3月理事会では同文言を削除。いよいよ金融緩和方向へと舵を切る可能性が高まってきました。今後の金融政策も気になるところですが、チャート上でも豪ドル米ドルの状況を確認していきましょう。


豪ドル米ドルの週足分析

下図のチャートは豪ドル米ドルの週足チャートになります。前回の解説(1月10日)からの推移を確認すると、長期視点では2021年2月高値を始点とする下落トレンドが継続中(チャート上の青色実線)。また、昨年2月高値を始点とする下落トレンド(チャート上の青色実線)もほぼ平行して推移しており、前回も指摘した「チャネルライン(チャート上の青色点線)」と併せて、長期の下落トレンドが続いているようです。



一方、下値に関しては2020年3月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)が迫ってきており、今後は同線がサポートとして機能するか確認する必要があるでしょう。


豪ドル米ドルの日足分析

今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。チャート上の青色実線や青色点線、および黄色実線は週足チャートで紹介したものと同じです。



チャート下部に追加した「MACD」は今月に入ってプラス圏を回復。短期的には買いシグナルを示唆していますが、3月以降は0.66米ドル台で上ヒゲを伸ばして引けることを繰り返しており(チャート上の丸で囲った部分)、しかも上ヒゲ自体も徐々に上値を切り下げつつある点は気になるところ。

0.66米ドル台での頭の重さが確認されつつあることを考慮すると、短期的にも上方向は攻めづらくなっていると見るべきでしょう。2月13日につけた今年の安値0.6443米ドルを下抜けると、現時点ではサポートとして機能するか不透明なチャート上の黄色実線まで目立った下値目処がなくなるだけに注意が必要となります。


今後のイベントは

最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は豪米の金融政策。米利下げの後ずれ観測が高まるなか、豪準備銀行(RBA)が早期の利下げ転換を示唆するか注意しておく必要があるでしょう。4月中には両国の消費者物価指数(CPI)が発表されるため、結果を受けて思惑的な動きが進む可能性もありそうです。その他のイベントは以下の通りとなります。


今後1カ月の重要イベント

4月10日 米国 3月消費者物価指数(CPI)

4月24日 豪州 3月CPI

4月24日 豪州 1-3月期CPI

4月26日 米国 3月PCEコア・デフレーター

4月30日-5月1日 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)

5月3日 米国 4月米雇用統計

5月7日 豪州 RBA理事会




この連載の一覧
第93回 メキシコペソ円、上昇トレンドは健在だが・・
第92回 トルコリラ円、大きなチャンス到来か
第91回 豪ドル米ドル、上方向は攻めづらい
第90回 NZドル米ドル、トレンド転換につながる注目ポイントに接近
第89回 ユーロドル、ヘッド・アンド・ショルダーズの完成なるか
第88回 ドル円、5月中にも上方向へブレイクか
第87回 豪ドル円、上昇トレンド継続に黄色信号
第86回 NZドル円、上昇トレンド継続も目先は調整リスク
第85回 ポンドドル、長期下降トレンドの転換は間近?
第84回 ランド円、上昇トレンドは本物か
第83回 メキシコペソ円、レンジブレイクのチャンス到来
第82回 ユーロドル、レンジ相場脱却の手掛かりは乏しい
第81回 トルコリラ円、昨年8月以来のチャンスをものにできるか
第80回 ドル円、上昇トレンドを維持も上値追いは慎重に
第79回 NZドル米ドル、長期下落トレンドのブレイクは失敗か
第78回 豪ドル米ドル、依然として下落トレンド
第77回 ポンド円、来年以降の下値リスクに警戒
第76回 ランド円、ヘッドアンドショルダーズの可能性高まる
第75回 メキシコペソ円、レンジ相場がしばらく継続か
第74回 ユーロドル、メインシナリオはレンジ相場
第73回 ドル円、ポイントは一目均衡表雲の維持
第72回 低迷ぶりが際立つトルコリラ円、反発の可能性は?
第71回 豪ドル円、上値トライのチャンスだが力強さを欠く
第70回 NZドル円、いよいよ過去最高値も視野入りか
第69回 ユーロ円、月足チャートでは不安なし 週足では?
第68回 ポンドドル、一目雲に接近で正念場に
第67回 ランド円、ヘッドアンドショルダーズの懸念消えず
第66回 NZドル米ドルに反発のチャンス到来?
第65回 好調なメキシコペソ円に失速の気配
第64回 ドル円、150円台までは介入の可能性低い
第63回 カナダドル円、110円台への再挑戦が迫る
第62回 リラ円、一目雲を数年来上抜けできず
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第39回 ダウ理論とエリオット波動(3)
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第23回「誰にでもわかるチャート教室」 練行足とカギ足
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第20回「誰にでもわかるチャート教室」 エンベロープとボリンジャーバンド
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第17回「誰にでもわかるチャート教室」 突発的な急変動に対処する
第16回「誰にでもわかるチャート教室」 DMI
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第14回「誰にでもわかるチャート教室」 RCI
第13回「誰にでもわかるチャート教室」 ストキャスティクス
第12回「誰にでもわかるチャート教室」 RSI
第11回「誰にでもわかるチャート教室」 時間軸の考え方
第10回「誰にでもわかるチャート教室」 フォーメーションあれこれ~その4
第9回「誰にでもわかるチャート教室」 フォーメーションあれこれ~その3
第8回「誰にでもわかるチャート教室」 フォーメーションあれこれ~その2
第7回「誰にでもわかるチャート教室」 フォーメーションあれこれ~その1
第6回「誰にでもわかるチャート教室」 移動平均線~その2
第5回「誰にでもわかるチャート教室」 移動平均線~その1
第4回「誰にでもわかるチャート教室」チャネルラインと外国為替市場の独自性
第3回「誰にでもわかるチャート教室」相場の方向性が一目瞭然、トレンドライン
第2回「誰にでもわかるチャート教室」相場のトレンドを探る
第1回「誰にでもわかるチャート教室」 相場が不安定だからこそ、チャート分析に頼りたい

為替情報部 アナリスト

岩間 大祐

大学卒業後の2004年に国内証券会社に入社。 外国為替証拠金取引業務に携わった後、金融情報サービス会社にて個人投資家向けの為替情報配信業務を担当。市況サービスのほか、テクニカル分析を軸にした情報を配信する。 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト。

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