FX 誰にでもわかるチャート教室

第60回 今後のユーロドル相場

今回解説していく通貨はユーロドルです。ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は注目されていた米ジャクソンホール会議での講演で、「インフレ率を目標値へ引き下げるため必要に応じて金利を高水準に設定し、必要な限りその水準に維持する」との見解を示しましたが、これは従来通りの見解で新たな政策ヒントは得られませんでした。

欧州経済の減速が目立ち始め、リセッション(景気後退)懸念も高まる中でECBは今後も難しいかじ取りを迫られることになりそうです。ではチャート上でもユーロドルの状況を確認していきましょう。


ユーロドルの週足分析

下図のチャートはユーロドルの週足チャートになります。前回の解説(6月28日)時に指摘したレンジ相場入りは、その後に4月26日高値の1.1095ドルを上抜けたことで回避されました。前回高値の上抜けによって上昇トレンドが維持されていることは確認できましたが、その一方で昨年9月安値を始点とする上昇トレンド(黄色実線)は今月に入って下抜けています。上昇の勢いが減速していることを示しており、今後も注意が必要な状況には変わりありません。



ユーロドルの日足分析

今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。直近の動きに伴って新たに引いた上昇トレンドライン(黄色実線)ですが、執筆時点(8月28日)でぎりぎりの状態にあります。同線を下抜けたからといって上昇トレンドが終了するわけではありませんが、上昇の勢いが一段と衰えることになりますので注目しておきたいところです。



また、チャート下部に追加した「DMI」では-DI>+DI(下降トレンド)、ADX(トレンドの強さ)の水準上昇傾向が見られ、日足ベースでは直近の動きが下降トレンドにあることを示唆。週足分析から見てきた上昇トレンド転換の可能性は意識せざるを得ない局面です。


上昇トレンドの終了を示唆するポイントとしてやはり直近安値の下抜けでしょう。チャート上の丸で囲った部分(5月31日安値1.0635ドル、3月15日安値1.0516ドル、1月6日安値1.0484ドル)などが重要なサポート水準となります。


一方で上値は7月18日高値を始点とした下降トレンドライン(青色実線)が現在は機能。下降トレンドラインは現時点で1.0880ドル付近、1カ月後には1.0600ドル付近まで低下する見込みとなっています。


今後のイベントは

最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は欧米の金融政策ということになるでしょう。両中銀とも結果公表後に中銀総裁の記者会見が予定されているほか、今回のFOMCでは金利見通し(ドットチャート)も公表されるため、FOMCメンバーによる先行きの金利見通しも注目されます。その他のイベントは以下の通りとなります。


今後1カ月の重要イベント

8月31日 ユーロ圏 8月消費者物価指数(HICP、速報値)

9月1日 米国 8月米雇用統計

9月13日 米国 8月消費者物価指数(CPI)

9月14日 ユーロ圏 欧州中央銀行(ECB)理事会

9月19-20日 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)

9月29日 ユーロ圏 9月HICP速報値

この連載の一覧
第84回 ランド円、上昇トレンドは本物か
第83回 メキシコペソ円、レンジブレイクのチャンス到来
第82回 ユーロドル、レンジ相場脱却の手掛かりは乏しい
第81回 トルコリラ円、昨年8月以来のチャンスをものにできるか
第80回 ドル円、上昇トレンドを維持も上値追いは慎重に
第79回 NZドル米ドル、長期下落トレンドのブレイクは失敗か
第78回 豪ドル米ドル、依然として下落トレンド
第77回 ポンド円、来年以降の下値リスクに警戒
第76回 ランド円、ヘッドアンドショルダーズの可能性高まる
第75回 メキシコペソ円、レンジ相場がしばらく継続か
第74回 ユーロドル、メインシナリオはレンジ相場
第73回 ドル円、ポイントは一目均衡表雲の維持
第72回 低迷ぶりが際立つトルコリラ円、反発の可能性は?
第71回 豪ドル円、上値トライのチャンスだが力強さを欠く
第70回 NZドル円、いよいよ過去最高値も視野入りか
第69回 ユーロ円、月足チャートでは不安なし 週足では?
第68回 ポンドドル、一目雲に接近で正念場に
第67回 ランド円、ヘッドアンドショルダーズの懸念消えず
第66回 NZドル米ドルに反発のチャンス到来?
第65回 好調なメキシコペソ円に失速の気配
第64回 ドル円、150円台までは介入の可能性低い
第63回 カナダドル円、110円台への再挑戦が迫る
第62回 リラ円、一目雲を数年来上抜けできず
第61回 今後の豪ドル米ドル相場
第60回 今後のユーロドル相場
第59回 今後のポンドドル相場
第58回 今後のランド円相場
第57回 今後のNZドル円相場
第56回 今後のドル円相場
第55回 今後のメキシコペソ円相場
第54回 今後のトルコリラ円相場
第53回 今後の豪ドル円相場
第52回 今後のNZドル米ドル相場
第51回 今後のユーロドル相場
第50回 今後のユーロ円相場
第49回 今後の豪ドル米ドル相場
第48回 今後のポンド円相場
第47回 今後のドル円相場
第46回 今後のランド円相場
第45回 今後のトルコリラ円相場
第44回 今後のNZドル円相場
第43回 今後のメキシコペソ円相場
第42回 今後のユーロドル相場
第41回 今後の豪ドル円相場
第40回 今後のドル円相場
第39回 ダウ理論とエリオット波動(3)
第38回 ダウ理論とエリオット波動(2)
第37回 ダウ理論とエリオット波動(1)
第36回 ローソク足(3)
第35回 ローソク足(2)
第34回 ローソク足(1)
第33回 一目均衡表(4)
第32回 一目均衡表(3)
第31回 一目均衡表(2)
第30回 一目均衡表(1)
第29回 リトレースメント
第28回 避けられるリスク(その他の国編)
第27回 避けられるリスク(英国・オセアニア編)
第26回 避けられるリスク(日本・欧州編)
第25回「誰にでもわかるチャート教室」 避けられるリスク(米国編)
第24回「誰にでもわかるチャート教室」 ポイント&フィギュア
第23回「誰にでもわかるチャート教室」 練行足とカギ足
第22回「誰にでもわかるチャート教室」 新値足
第21回「誰にでもわかるチャート教室」 パラボリック
第20回「誰にでもわかるチャート教室」 エンベロープとボリンジャーバンド
第19回「誰にでもわかるチャート教室」 MACD
第18回「誰にでもわかるチャート教室」 ROC
第17回「誰にでもわかるチャート教室」 突発的な急変動に対処する
第16回「誰にでもわかるチャート教室」 DMI
第15回「誰にでもわかるチャート教室」 サイコロジカル・ライン
第14回「誰にでもわかるチャート教室」 RCI
第13回「誰にでもわかるチャート教室」 ストキャスティクス
第12回「誰にでもわかるチャート教室」 RSI
第11回「誰にでもわかるチャート教室」 時間軸の考え方
第10回「誰にでもわかるチャート教室」 フォーメーションあれこれ~その4
第9回「誰にでもわかるチャート教室」 フォーメーションあれこれ~その3
第8回「誰にでもわかるチャート教室」 フォーメーションあれこれ~その2
第7回「誰にでもわかるチャート教室」 フォーメーションあれこれ~その1
第6回「誰にでもわかるチャート教室」 移動平均線~その2
第5回「誰にでもわかるチャート教室」 移動平均線~その1
第4回「誰にでもわかるチャート教室」チャネルラインと外国為替市場の独自性
第3回「誰にでもわかるチャート教室」相場の方向性が一目瞭然、トレンドライン
第2回「誰にでもわかるチャート教室」相場のトレンドを探る
第1回「誰にでもわかるチャート教室」 相場が不安定だからこそ、チャート分析に頼りたい

為替情報部 アナリスト

岩間 大祐

大学卒業後の2004年に国内証券会社に入社。 外国為替証拠金取引業務に携わった後、金融情報サービス会社にて個人投資家向けの為替情報配信業務を担当。市況サービスのほか、テクニカル分析を軸にした情報を配信する。 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト。

岩間 大祐の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております