前回は米国のイベント・指標について簡単に説明していきましたが、今回は日本や欧州圏についてお話していきます。いずれも米国よりは市場の注目度、相場の反応ともに劣りますが、一部のイベントや指標には注意が必要です。
日本で重要なイベント・指標とは
・日銀金融政策決定会合
日銀が定期的に開催している金融政策決定会合です。年8回開催され、会合後には日銀総裁の記者会見も行われます。現在では市場の注目度はかなり低く、相場に与える影響も限定的です。
ただ、来年以降は再び市場の注目を集める可能性があるかもしれません。歴代で最長となった現在の総裁である黒田東彦氏の任期は2023年4月8日まで。また、雨宮・若田部両副総裁の任期も2023年3月19日までとなっており、3月から4月にかけて日銀首脳部が大きく入れ替わることになります。
新総裁が現在の緩和的スタンスをいきなり大きく変化させるとは考えづらいですが、それでも新総裁から緩和の「出口」などに言及があれば、再び市場が注視するビッグイベントへと変わる可能性もあるでしょう。
・その他の経済指標やイベント、要人発言など
その他の経済指標は現状で市場に与えるインパクトは小さく、テクニカル主体のトレードの障害になることはなさそうです。ただ、前述したように日銀の金融政策に市場の焦点があたるようになれば、日銀の正副総裁や審議委員の発言なども注目されるかもしれません。
欧州で重要なイベント・指標とは
・ECB理事会
欧州中央銀行(ECB)が定期的に開催している金融政策決定会合です。年8回開催され、会合後にはラガルドECB総裁の記者会見も行われます。ユーロドル、ユーロ円相場はもちろん、ユーロドルなどの動きを通じて他の通貨へも影響を与えることがある欧州圏での最重要イベントになります。
・HICP
ECBの責務は「物価の安定」となっているため、ECBが注視している消費者物価指数(HICP)は市場の注目を集めます。なお、HICPは速報値と改定値が月に一度ずつ発表されますが、改定値で速報値から大きく数値が変更されることは少なく、重要視されるのは速報値となります。
・その他の経済指標やイベント、要人発言など
その他の経済指標では域内総生産(GDP)や主要国(独・仏など)の製造業・サービス部門購買担当者景気指数(PMI)なども相場に影響を与えることがありますが、ECBの金融政策やHICPほどのインパクトはありません。
また、ラガルド総裁などECB理事会の構成メンバーの発言に反応することもありますが、事前にリスクを回避するには構成メンバーの数が多すぎることもあり、ラガルド総裁の発言予定のみに注意を払う方が無難でしょう。