今回解説していく通貨はドル円です。今週は日米の金融政策イベントを控えており、目先は金融政策の方向性に市場の注目が集まることになるでしょう。基本的に日米金利差は縮小していく方向にあるものの、縮小ペースは以前の想定よりも緩慢なものになる見込み。ドル円相場への影響も注目されるところですが、チャート上でもドル円の現在の状況を確認していきましょう。
ドル円の週足分析
下図のチャートはドル円の週足チャートになります。前回の分析(9月25日)からの変動を見ていくと、重要な下値の目処となっていた2023年7月安値の137.25円を下抜けることなく相場が上昇に転じ、11月半ばには156円台まで上昇。その後も底堅く推移しました。
2023年安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線、黄色点線)を今回はチャートに追加しましたが、足もとでは一度下抜けた黄色点線を再び回復しつつあり、上昇の勢いが増していることがうかがえます。
「一目均衡表」で確認しても、価格線が雲の上抜けを狙う状況にあり、転換線>基準線も成立。遅行スパンが直近で価格線を上抜ける可能性は高くないものの、現水準付近を維持できれば来年1月末か2月初旬には強い買いシグナルとされている「三役好転」が点灯することになりそうです。
ドル円の月足分析
週足ではポジティブな面が目立ちましたが、今度はより長期的な視点でも相場を確認していきます。下図のチャートはドル円の月足チャートです。
現在は2021月1月から始まった上昇局面(チャート上の青色実線)と捉えることができそうですが、この急ピッチでの上昇が今後も維持できるかについては疑問の余地が残ります。チャネルラインを引くと現状での上値目標は175円付近。計算上では来年に180円台まで上昇余地が拡大することになりますが現実的とは言えないでしょう。
そこで視点を変えて2012年10月安値を始点とする上昇トレンドラインを引いてみました。このチャネルラインによると現状はほぼ上限付近に位置。過去に何度か上抜けているものの、上値目処として機能していることも多く、目先はこちらを意識した方がよさそうです。
今回チャート下部に追加した「DMI」でみても+DI>-DI(上昇トレンド)を示唆しているものの、トレンドの強さを示すADXは低下傾向。やはり過度に強気に立ち回るのは危険といったシグナルが多く見受けられます。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は当然ながら日米の金融政策。米国は0.25%の利下げ、日本は金利据え置きでコンセンサスが出来上がりつつあり、市場の目線は来年以降の金融政策へと向かっています。日米中銀総裁の会見や声明文、米国ですと今回は金利見通し(ドットチャート)も公表されるので、それらで金融政策のヒントを探りたいところです。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
12月17-18日 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)
12月18-19日 日本 日銀金融政策決定会合
12月20日 日本 11月全国消費者物価指数(CPI)
12月20日 米国 11月PCEコア・デフレーター
1月10日 米国 12月米雇用統計
1月15日 米国 12月CPI