今回解説していく通貨はトルコリラ円です。トルコ銀行(中央銀行)は前回の解説(8月28日)以降に開催した金融政策決定会合でも政策金利を維持。日銀も同じく政策金利を維持してきましたが、年内の追加利上げ期待はくすぶっており、12月の金融政策決定会合が近づくにつれて思惑も広がってくる可能性がありそうです。では、チャート上でも改めてトルコリラ円の状況を確認していきましょう。
トルコリラ円の日足分析
下図のチャートはトルコリラ円の日足チャートになります。前回の解説(8月28日)からの推移を確認すると、9月16日には4.11円まで過去最安値を更新。ただ、その後はやや買い戻しが入って11月15日には4.55円まで上昇する場面も見られました。
3月安値(4.54円、チャート上の青色実線)は一時的に上抜けたものの、すぐに押し戻されたことから依然として同水準近辺がレジスタンスとして意識されていると考えてよいでしょう。
一方で、下方向に目を向けると9月30日安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色点線)は直近で下抜けており、買いの勢いはやや後退。チャート下部に追加した「DMI」で見ても+DIと-DIが急接近しており、上昇トレンドの失速を示唆しています。
9月16日安値を始点とする穏やかな上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)はまだ維持できていますが、同線を割り込むと再び過去最安値が視野に入るため、決して楽観視できる状況とは言えません。
トルコリラ円の週足分析
次に週足でも状況を確認してきましょう(下図のチャート)。チャート上の黄色実線および青色実線は日足分析で紹介したものと同じものです。
チャート下部には同じく「DMI」を追加してありますが、日足と違ってこちらは-DI>+DI(下落トレンド)が失速している様子が示されています。直近のリラ円が再び売りに押される展開とならなければ、近くトレンド転換の可能性もありそうですが、注意しておきたいのがトレンドの強さを示すADXの動向。
7月にも一時的に+DI>-DI(上昇トレンド)となる場面はあったものの、ADXが低下していたこともあり、結果的には「下落トレンドの調整=いわゆるダマシ」となりました。やはり本格的な上昇トレンドへの転換にはADXの上昇も必須ということでしょう。
ただ、週足ベースでADX の上昇が伴った+DI>-DI(上昇トレンド)の状態は2014年10月以降、なんと10年以上も訪れていません。チャート上の青色実線や7月3日につけた直近高値4.98円(チャート上の青色点線)を上抜けてくるような上昇を描けると可能性もありそうですが、現時点では非常に高いハードルと言わざるを得ないようです。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は日・トルコ両国の金融政策。日本の経済状況については追加利上げを容認するような変化が見られているわけではないですが、総選挙を終えたことで政治的には動きやすくなっているとの思惑が広がっています。
また、トルコ中銀についても11月消費者物価指数(CPI)が中銀の年末目標である44%に近づいた場合、昨年2月以来となる金利引き下げに踏み切るとの声も聞かれ始めており、CPIの行方と併せて注目しておきましょう。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
12月3日 トルコ 11月消費者物価指数(CPI)
12月18-19日 日本 日銀金融政策決定会合
12月20日 日本 11月全国CPI
12月26日 トルコ トルコ中銀、金融政策決定会合