今回紹介するオシレーター系指標は「RCI」です。統計学の「相関係数」を相場分析に応用したものであり、売買のタイミングを図る指標として利用されています。統計学といった言葉に抵抗感がある方もいるでしょうが、相場判断に利用するだけであれば概要を知るだけで十分です。ここで使い方をマスターしていきましょう。
相場の過熱感を感覚ではなく、数値化してみる
RCIとは「Rank Correlation Index」の略称であり、日本語で言うと「順位相関係数」です。大きな特徴は前回まで紹介したRSIやストキャスティクスと違って価格ではなく、価格の順位が重要となること。ある一定期間内の時間(日付)と価格それぞれに順位をつけて、その相関性を比較した値となります。計算式は以下の通りです。
(1) 前提として時間と価格の順位を定める
時間の順位:ある一定期間(n)のうち、最新の日付を1、前日を2とさかのぼっていき、nまで順位をつける
価格の順位:期間内の終値で高い順に1からnまで順位をつける
(2) 時間の順位と価格の順位の差を2乗し、合計した数値Sを計算
(3) RCI = (1 ‐ 6S ÷ n( n^2 ‐ 1 )) × 100
上記の計算式で使用している「n」は任意のパラメーターであり、自由に設定が可能です。一般的には9、17など使用されます。
計算式は複雑ですが、考え方はシンプル。皆さんも「最近は相場がずっと上昇を続けているから、そろそろ下落するかも」などと考えた経験はあると思いますが、このような投資家の考える相場の過熱感を指数で示したものとなります。
RCIは-100から+100のレンジで推移し、上昇トレンドであればRCIは正の値、下落トレンドであればRCIは負の値、n日間すべて上昇した場合は+100、すべて下落した場合は-100となります。
RCIでみる買いタイミング、売りタイミング
では実際にRCIを見てみましょう。下図はドル円の日足チャート。下部に「n=17日」としたRCIが加えてあります。
最も基本的な考え方はRCIが+100に近づくほど「相場が過熱している」として売りシグナル、-100に近づくほど「相場が冷え切っている」として買いシグナルと判断するやり方です。
その他にもRCIを活用した売買タイミングがいくつかありますので、簡単に紹介します。
買いタイミング
・RCIがマイナス圏から「ゼロ水準」を超えてプラスになる
・RCIが-100に接近した後に反転して上昇し始める
売りタイミング
・RCIがプラス圏から「ゼロ水準」を抜けてマイナスになる
・RCIが+100に接近した後に反転して下落し始める
さらにRSIやストキャスティクスと同様に、RCIも複数表示したうえでゴールデン・クロスとデッド・クロスの判断をすることが可能です。短期のRCIが長期のRCIを上抜けたタイミングで買い、逆の場合は売りとする見方ですね。ご自身の利用しやすい方法で相場判断に役立ててみてください。