今回解説していく通貨はユーロドルです。欧州中央銀行(ECB)は10月26日に開催された理事会で政策金利を4.50%で据え置くことを決定。11会合ぶりの据え置きとなり、ECBの金融政策も新たな局面へと入った格好になりました。今後の欧米金融政策について再び方向性を探る必要がありますが、チャート上でもユーロドルの状況を確認していきましょう。
ユーロドルの日足分析
下図のチャートはユーロドルの日足チャートになります。前回の解説(8月30日)からの経過をみていくと、3月15日安値を起点とした上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)を9月に入ってブレイク。目先のサポート水準として紹介したチャート上の丸で囲った部分(5月31日安値1.0635ドル、3月15日安値1.0516ドル、1月6日安値1.0484ドル)も下抜けて、10月3日には1.0448ドルまで下押す場面も見られました。
その後は買い戻しが入って11月後半に1.10ドル台を一時回復。もっとも、1.10ドル台を維持することはできずにその後は再び上値を切り下げています。
前述した上昇トレンドラインのブレイクや重要サポート水準の下抜けなどもあり、今年に入ってからの上昇トレンドが終了したことは間違いなさそうです。チャート下部に追加した「DMI」で見ても、現状では+DIと-DIが急接近しており、明確なトレンドが失われていることが示されています。
ユーロドルの週足分析
では週足で今後のシナリオを想定していきましょう(下図のチャート)。最も可能性が高そうなのが1.05-1.10ドル台を中心としたレンジ相場(チャート上の四角で囲った部分)への移行です。こちらでもチャート下部にDMIを追加しましたが、現時点では+DI>-DI(上昇トレンド)であることを示唆しているものの、肝心のトレンドの強さを示すADXが急低下。明確な上昇トレンドとは言えないようです。
ということであれば現状ではレンジトレードが無難ということになりますが、もちろんレンジはいつかブレイクするしょうから、先々のリスクシナリオを事前に想定しておくことも重要です。それぞれ目標値を探っていきたいと思います。
まず上方向ですが、直近の高値である7月17日高値(1.1276ドル)と10月3日につけた直近安値(1.0448ドル)のいわゆる倍返し水準が1.2104ドル。2021年1月につけた高値1.2349ドル(チャート上の丸で囲った部分)も一気に視野に入ってくることになるかもしれません。
一方で下方向ですが、今後このままレンジを下方向にブレイクするとチャート的には「ヘッドアンドショルダーズ」が成立するかたちとなります。その際の目標値は0.9879ドルとなり、その後は昨年9月につけた安値0.9536ドルを目指した攻防へと移行していく可能性もあるでしょう。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は年内最後の欧米金融政策ということになるでしょう。両中銀とも結果公表後に中銀総裁の記者会見が予定されているほか、今回のFOMCでは金利見通し(ドットチャート)も公表されるため、FOMCメンバーによる先行きの金利見通しも注目されます。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
12月8日 米国 11月雇用統計
12月12日 米国 11月消費者物価指数(CPI)
12月12-13日 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)
12月14日 ユーロ圏 欧州中央銀行(ECB)理事会
1月5日 米国 12月雇用統計