今回解説していく通貨はドル円です。日銀は昨日まで開催されていた金融政策決定会合で、マイナス金利の解除を決定。イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の撤廃も決めましたが、同時に緩和的な金融政策を継続する方針も改めて示しています。日銀の金融政策を通過したことで、市場の注目は本日まで開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)へと移ることになりましたが、チャート上でもドル円の状況を確認していきましょう。
ドル円の日足分析
下図のチャートはドル円の日足チャートになります(3月18日執筆時点)。前回(1月24日)からの推移を確認すると、2月13日に150.89円まで上昇した後、今月上旬には146.49円まで調整売りに押される場面も見られましたが、足もとでは再び149円台まで買い戻しが入っています。
今回のチャートに追加した日足の「一目均衡表」によると、転換線は基準線を下回って推移。遅行スパンも26日前の価格線を下回っており、決してテクニカル的に良好な状況とは言えないものの、価格線は抵抗帯(雲)をサポートとして下値を切り上げているようです。このまま雲をサポートにした買い戻し局面が継続すれば、そう遠くないうちに強い買いシグナルである「三役好転」が点灯する可能性もあるでしょう。
また、前回の分析でも触れた昨年1月安値(127.23円)を始点とする上昇トレンド(チャート上の黄色実線)は依然として継続しているほか、今後は昨年末安値を始点とする比較的短期の上昇トレンドライン(チャート上の黄色点線)もサポートとして機能する可能性があるため注目しておきましょう。
上値については前述した今年高値の150.89円や昨年11月13日高値(151.91円)など(いずれもチャート上の丸で囲った部分)が目処になりそうです。
ドル円の週足分析
今度は週足でも見ていきます(下図のチャート)。上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線および黄色点線)は日足分析で紹介したものと同じものです。
こちらでも「一目均衡表」を追加していますが、現時点では転換線>基準線、価格線>抵抗帯(雲)、遅行スパン>26週前の価格線の状態を維持しており、「三役好転」の強い買いシグナルが点灯中。週足ベースでの注目は上方向となりそうです。
そこで今回は2022年10月21日高値(151.95円)と昨年11月13日高値(151.91円)を結んだほぼ横ばいの線(チャート上の青色実線)を追加してみました。昨年1月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)と合わせて見てみると、現状が「アセンディング・トライアングル(上昇三角形)」と呼ばれる「三角保ち合い」を形成していることが分かるかと思います。
トライアングルの基本特性として「トライアングルを作る前の相場の進行方向は、トライアングル後も維持される」ことにあるので、現時点ではチャートを上抜けする可能性が濃厚ということですね。
もちろん「三角保ち合い」の継続が条件となりますので、今後も昨年1月安値を始点とする上昇トレンドラインの維持は必須。重要なサポートラインとして意識しておきましょう。なお、昨年末安値を始点とする短期上昇トレンドライン(チャート上の黄色点線)を維持できた場合は、遅くとも5月中に「三角保ち合い」をブレイクできる計算です。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は本日公表される米国の金融政策。今回の米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利が据え置かれるとの予想となっており、ポイントは声明文および政策金利水準の予測分布図(ドットチャート)の行方。
また、日銀がマイナス金利の解除に踏み切ったことで今後は全国CPIもこれまで以上に注目されるでしょう。4月25-26日に開催される次回の日銀金融政策決定会合に向けて思惑的な動きを誘発する可能性もありそうです。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
3月19-20日 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)
3月22日 日本 2月全国消費者物価指数(CPI)
3月29日 米国 2月PCEコア・デフレーター
4月5日 米国 3月米雇用統計
4月10日 米国 3月CPI
4月19日 日本 3月全国CPI