今回解説していく通貨はユーロドルです。米国を始めとして各中銀が利上げの縮小・休止を視野に入れるなか、欧州中央銀行(ECB)当局者からはタカ派的な発言が相次いで伝わっており、金利先高観が足もとのユーロ相場を下支えしているようです。チャート上でも状況を確認していきましょう。
ユーロドルの週足分析
下図のチャートはユーロドルの週足チャートになります。長期視点では2021年5月高値を始点する下降トレンドラインを昨年12月にブレイクしました(チャート上の青色実線)。現在は昨年9月安値を始点とする上昇トレンド(黄色実線)が機能している状態です。
また、今回は「ROC」でも見ていきましょう。ROC は先月下旬に負の値から正の値に転換。ゼロ水準を上抜けて「トレンドが下降から上昇へと転換した」ことを示唆しています。トレンドライン、ROCでいずれも現在が上昇トレンドであることが確認できました。
ユーロドルの日足分析
今度は日足でも見ていきましょう(下図のチャート)。直近の安値は3月15日につけた1.0516ドル。その後は買い戻しが進み、心理的節目の1.1000ドルを再び上抜けて昨年4月以来の高値を更新しました。現状では3月15日安値を起点とした短期の上昇トレンドも機能している状態です。
今後の展望は
材料が出揃いましたので、今後を展望していきましょう。週足で確認したように現在は「上昇トレンド」と見るべきで、基本的には押し目買い方針で臨むべきでしょう。
日足チャートで確認した短期のトレンドライン(チャート上の黄色点線)は執筆時点(17日)で1.0920ドル付近に位置しており、月末にかけて1.1070ドル台まで急速に下値を切り上げていく予定となっています。
この上昇トレンドを下抜けると買いの勢いも弱まるでしょうが、基本線は昨年9月安値を始点した上昇トレンドラインを目処にした戦略。こちらは執筆時点で1.06ドル台前半に位置しており、1か月後には1.0800ドル付近まで切り上がる見込み。同線をしっかりと下抜けるまでは押し目買い姿勢を維持しておきたいところです。
最後に今後の重要イベントも確認しておきます。最大の注目は5月2-3日のFOMC、5月4日のECB政策金利となります。欧米の金融政策が連日で公表され、今後の金融政策の方向性や欧・米の金利先高観などに市場の焦点があたるでしょう。その他のイベントは以下の通りです。
今後1カ月の重要イベント
4月27日 米国 1-3月期四半期GDP速報値
4月28日 米国 3月個人消費支出(PCEコア・デフレーター)
5月2日 ユーロ圏 4月消費者物価指数(HICP、速報値)
5月2-3日 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC、3日の会合後にはパウエルFRB議長の記者会見)
5月4日 ユーロ圏 欧州中央銀行(ECB)政策金利(会合後にはラガルドECB総裁の記者会見)
5月5日 米国 4月米雇用統計
5月10日 米国 4月CPI
5月19日 米国 パウエルFRB議長、講演