今回からはオシレーター系の指標についてお話します。オシレーターとは相場の変動を指数化し、それによって相場の強弱を現したものです。代表的なものとして「RSI」などが有名ですね。
今は買われ過ぎ?売られ過ぎ?
RSIは「Relative Strength Index」の頭文字を取った略称で、日本語で言えば「相対力指数」となります。相場の強弱感を0から100の数値で示し、現在の状況が「買われ過ぎ」なのか、「売られ過ぎ」なのかを判断することができます。計算式は以下の通りです。
RSI = n日間で上昇した日の上昇幅合計 ÷ (n日間の上昇幅合計 + n日間の下落幅合計) × 100
上記の計算式で使用している「n」は任意のパラメーターであり、自由に設定が可能です。一般的には9、14、長期では75など使用されます。RSIは通常「70以上、もしくは80以上が買われ過ぎ水準」、「30以下、もしくは20以下が売られ過ぎ水準」とし判断され、逆張りでの新規参入タイミングを狙う際に役立ちます。
例としては「RSIが70を超えた際に売り」「RSIが30を下回った際に買い」といったやり方です。また、「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を判断する指数などで、すでに保有している買い・売りポジションの利食いを入れるタイミングとして使用することもできるでしょう。
RSIが役立つ時、立たない時
RSIが最も力を発揮するのは横ばいトレンドです。逆にはっきりとした上昇・下降トレンドが出現している際には十分に機能しなくなります。
上図はドル円の日足チャート。下部に「n=14日」としたRSIが加えてあります。
2019年から2020年にかけて相場が比較的落ち着いている際にはRSIが上手く「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」局面を捉えていることが分かります。
ところが2022年以降のはっきりとした上昇トレンド内ではRSIが機能しているとは言い難くなりますね。
ここでもやはり大事なことはトレンドの判断。何度も繰り返してお話していることですが、どんな状況下でも現在のトレンドを把握することが最も重要です。
信頼度が高い「ダイバージェンス」
RSIのもう一つの利用法として「ダイバージェンス」というものがあります。信頼度の高いシグナルと言われており、買い・売りのタイミングを探ることが可能です。
上図はユーロドルの日足チャート。下部に「n=14日」としたRSIが加えてあります。
2020年の後半からユーロドルは上値を切り上げる展開となっていますが、その時期に対応したRSIを確認すると逆に上値を切り下げていることが分かります。このような状態を「弱気のダイバージェンス」と呼び、売りのシグナルとされています。
反対に相場が下値を切り下げるような局面で、RSIが下値を切り上げていく状態が「強気のダイバージェンス」です。こちらは買いのシグナルとなります。
複数のRSIを組み合わせてさらに工夫を
その他にも複数のRSIを使用して、短い期間のRSIが長い期間のRSIを上抜けた場合を買いシグナル、短い期間のRSIが長い期間のRSIを下抜けた場合を売りシグナルとする分析手法もあります。これは移動平均線の際に紹介したゴールデン・クロスとデッド・クロスの考え方です。
さらにRSIの水準とゴールデン・クロスとデッド・クロスを組み合わせることも可能です。「RSIが30以下の水準でゴールデン・クロス発生時を買いシグナル」といったやり方ですね。
RSIは分かりやすい数値を示す指数ではありますが、様々な工夫が可能です。ぜひチャート分析に利用してみて下さい。