今回解説していく通貨はメキシコペソ円です。メキシコ銀行(中央銀行)は今年に入っても追加緩和方針を維持。前回の会合(2月6日)では利下げ幅をこれまでの25bpから50bpへと拡大しており、今週(27日)の会合でも50bpの追加利下げが見込まれています。
一方、日銀については追加利上げ観測が根強く残るものの、トランプ米政権の関税政策および経済への影響などを見極める必要があり、早期の利上げ期待はやや緩和されつつあります。両国の金融政策が相場に与える影響についても注目されるところですが、チャート上でもメキシコペソ円の状況を確認していきましょう。
メキシコペソ円の週足分析
下図のチャートはメキシコペソ円の週足チャートになります。前回の分析(1月8日)からどのように推移したかを見ていきますと、昨年7月以降の急落後に形成された7円台のレンジ相場(チャート上の四角で囲った部分)が継続。今月に入って一時7.07円まで弱含む場面があったものの、レンジ相場の下限である6.99円(昨年9月安値)割れを回避すると、足もとでは7.5円台まで買い戻しが入っています。
現在がレンジ相場であることは前述した通りですが、レンジ内推移を続いているうちに2020年4月安値を起点とする長期の上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)が近づいてきました。レンジ相場を維持できていたとしても、今後上昇トレンドラインをブレイクするような展開となれば、間違いなく下値リスクが高まります。
また、チャート下部に追加した「DMI」では-DI>+DI(下落トレンド)を示唆しており、トレンドの強さを示すADXも高止まり。見た目以上に下落リスクは高まっており、今後も長々とレンジ相場を続けていく猶予はあまりないのかもしれません。
メキシコペソ円の日足分析
週足分析では主に下落リスクについて語ってきましたが、短期目線ではやや様相が異なるようです。下図は日足のチャート(25日執筆時点)になります。チャート上の黄色実線は週足分析で紹介した2020年4月安値を起点とする上昇トレンドラインになります。
昨年末から上値を切り下げる展開が続いていましたが、今月に入って相場には反転の兆し。昨年12月高値を起点とする下降トレンドライン(チャート上の青色実線)が迫ってきました。同水準付近には「一目均衡表」の雲上限も控えており、ここを上抜けると転換線>基準線、遅行スパン>価格線、価格線>抵抗帯(雲)が成立。強い買いシグナルとされる「三役好転」が点灯します。
直近の下落トレンドのブレイクと「三役好転」の点灯が同時に達成できる7.55円付近の上抜け如何は目先の最重要ポイントと言えるでしょう。同時に週足分析で紹介したように今後下落リスクが高まっていくことを考慮すると、今回の上昇は相場反転の最後のチャンスとなるかもしれません。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目はメキシコの金融政策。メキシコではインフレの減速と景気減速懸念が高まっており、27日の会合で50bpの追加利下げが実施されることは既定路線です。ポイントは今後の利下げ幅・ペースとなり、その辺りを声明文などから確認していくことになります。
また、日・メキシコの両国に関係してくる重要イベントとしては米国の関税政策に注意が必要となります。トランプ米大統領は4月2日に相互関税の詳細について発表するとしているほか、同日はメキシコからの輸入品の大半に対する25%関税の延期期限※でもあります。その他のイベントは以下の通りとなります。
※米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に準拠した製品が延期の対象
今後1カ月の重要イベント
3月27日 メキシコ メキシコ中銀、金融政策決定会合
4月2日 米国 トランプ米大統領、相互関税の詳細発表
4月2日 メキシコ 米関税(25%)の延期期限
4月9日 メキシコ 3月消費者物価指数(CPI)
4月18日 日本 3月全国CPI