今回解説していく通貨はメキシコペソ円です。メキシコ銀行(中央銀行)は3月21日に金融政策決定会合を開催し、政策金利を11.25%から11.00%へと引き下げることを決定。昨年4月に実施した利上げを最後に、1年近く金利を据え置いてきましたが、ついに金利の引き下げを決断しました。2021年7月から続いてきた金融引き締め局面が終わりを迎えるなか、メキシコペソ円の推移にも変化が生じるのか。では、チャート上でメキシコペソ円の状況を確認していきましょう。
メキシコペソ円の週足分析
下図のチャートはメキシコペソ円の週足チャートになります。前回の分析(2月14日)からどのように推移したかを見ていきますと、前回指摘したレンジ相場は3月に入って上方向にブレイク。4月15-19日週に一時急落する場面もありましたが、2022年3月安値を起点とした上昇トレンドライン(黄色実線)をサポートとして下げ止まった格好です。
上昇トレンドラインがしっかりと機能したことを考慮すると、足もとでメキシコペソ円の買い基調に変化は見られていないようです。基本的には今後も上昇トレンドラインをサポートにした押し目買い戦略が有効となりそうです。
なお、チャート下部に追加した「DMI」は-DI>+DIとなっており、現在が下降トレンドであることを示唆していますが、-DIの急上昇に関しては4月15-19日週に急落した影響が及ぼした「ノイズのようなもの」と考えるべきでしょう。
メキシコペソ円の日足分析
今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。チャート上の上昇トレンドラインと平行に引いたチャネルライン(いずれも黄色実線)は週足で紹介したものと同じものです。
一見した限りでは週足分析と同じく、上昇トレンドが続いていると見ていいでしょう。ただ、今回のチャートに追加した「一目均衡表」からは気になる点も。こちらも19日の急落の影響が大きく、執筆時点(22日)では基準線=転換線となっていますが、この先は転換線が基準線を上から下抜ける「逆転」となることが濃厚です。また、遅行スパンも価格線に迫りつつあり、今後相場が下値を切り上げていく展開とならなければ、26日前の価格線>遅行スパン(弱気示唆)となる可能性もあるでしょう。
今年に入ってからというもの、強い買いシグナルとされる「三役好転」が点灯していただけに、今後は短期的な状況の変化に気をつけておきたいところ。その一方で週足分析でも確認した通り、中・長期的には上昇トレンドを維持しているため、調整が入った際には押し目買いポイントとして利用してもよさそうです。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は日・メキシコの金融政策。日銀は金融引き締め・メキシコ中銀は金融緩和と、金融政策の方向性は真逆ですが、両中銀とも政策転換をゆっくりと進めていくとした点は共通しています。今回の金融政策決定会合を手掛かりとして今後の政策スケジュールなどを探りたいところです。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
4月25-26日 日本 日銀金融政策決定会合
5月9日 メキシコ 4月消費者物価指数(CPI)
5月9日 メキシコ メキシコ中銀、政策金利
5月24日 日本 4月全国CPI