今回解説していく通貨は豪ドル円です。豪準備銀行(RBA)は19日に次回の金融政策決定理事会を開催する予定となっていますが、前回の会合(2月6日)では声明文で「金利のさらなる引き上げを排除しない」と言及するなど、他の主要国と比較すると金融緩和へ舵を切る時期は遅れる見込み。ただ、日銀も早期に金融政策を正常化するとの観測が高まっていることから、日・豪金融政策を巡って豪ドル円は今後も神経質な動きとなりそうです。
では、チャート上でも豪ドル円の状況を確認していきましょう。
豪ドル円の週足分析
下図のチャートは豪ドル円の週足チャートになります。前回の分析(11月15日)からどのように推移したかを見ていきますと、2020年3月安値を起点とする上昇トレンド(チャート上の黄色実線)が継続中。目先の目標であった昨年9月につけた高値98.60円(チャート上の青丸で囲った部分)を上抜けて、先月には一時99.06円まで上値を試す場面も見られました。
この先は節目の100.00円や2014年11月高値の102.85円、2013年4月高値の105.43円、2007年10月高値の107.87円などが次の目標になりますが、大台突破を狙う前にやや気になる点も。
チャート下部に追加した「DMI」によると、足もとでは+DIと-DIが頻繁にクロスする動きとなっており、明確なトレンドを示唆できず。トレンドの強さを示すADXも一段と低下しており、週足のDMIからは上昇の強さがうかがえないようです。
豪ドル円の日足分析
今度は日足でも見ていきましょう。2020年3月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)は週足分析で紹介したものと同じものです。また、昨年12月安値を始点とする短期の上昇トレンドライン(チャート上の黄色点線)も加えてあります。
執筆時点(3月9日)では上記の短期上昇トレンドラインをなんとか維持できていますが、かなり危険な状況にあります。同線を下抜けたとしても上昇トレンドが即終了というわけではありませんが、上昇の勢いが弱まることは確実なため注意しておく必要があるでしょう。なお、今年の年初来安値である95.50円(チャート上の赤丸で囲った部分)を下抜けた場合は本格的な調整入りが濃厚となります。
その他では今回のチャートに追加した「一目均衡表」にも注目しておきたいところ。現時点では強い買いシグナルである「三役好転」の状態が維持されていますが、転換線が基準線に、現在の価格線が抵抗帯に、遅行スパンが26日前の価格線にそれぞれ接近しており、今後は「三役好転」の状態が解除される可能性もありそうです。
今後のイベントは
最後に今後1か月間の重要イベントも確認しておきます。注目は3月18-19日の同日に開催される日・豪の金融政策。両中銀ともに19日に金融政策が公表となります。また、日銀の金融政策を占ううえで本日予定されている春闘の集中回答にも注意が必要となります。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
3月13日 日本 春闘の集中回答日
3月18-19日 日本 日銀金融政策決定会合
3月18-19日 豪州 豪準備銀行(RBA)理事会
3月22日 日本 2月全国消費者物価指数(CPI)
3月27日 豪州 2月CPI
4月2日 豪州 RBA理事会議事要旨