今回解説していく通貨はメキシコペソ円です。メキシコ銀行(中央銀行)は9月28日に開催された金融政策決定会合で政策金利の現行の11.25%で据え置くことを決定。中銀の声明文は総じてタカ派的な内容だったと受け止められましたが、これで金利据え置きは4会合連続となり、市場では次の一手は利下げという見方が広がりつつあります。金融政策の方向性も変わりつつあるなか、チャート上でもメキシコペソ円の状況を確認していきましょう。
メキシコペソ円の週足分析
下図のチャートはメキシコペソ円の週足チャートになります。前回の分析(7月26日)からどのように推移したかを見ていきますと、2014年11月につけた直近高値8.72円、2008年3月安値8.89円(ともにチャート上の青色実線)近辺での推移が継続。8.72円を一時上回る場面もありましたが、買いの勢いが強まることはなく、高値圏でのもみ合いが続いている状況です。
一方で下方向に目を向けると、2022年3月安値を起点とした上昇トレンドライン(黄色実線)がしっかりと機能。ただ、チャネルラインから考慮するとここから上昇が加速していく展開は望みづらいかもしれません。仮に本格的な調整が入った場合、チャネルラインとの幅や2022年後半の下落分などを見る限りでは1円程度、7円台後半まで下押す可能性もありそうです。
メキシコペソ円の日足分析
今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。チャート上の上昇トレンドライン(黄色実線)および青色実線は週足で紹介したものと同じものです。
ここで気になるのが足もとでの上昇の勢いについて。今年3月から3カ月ほどは堅調な地合いを維持してきましたが、その後は3月安値を起点とする上昇トレンドライン(全て黄色点線)を次々と下抜ける動きとなりました。このように以前のトレンドラインを維持できず、次々と新たなトレンドラインを引き直す状況は足もとで上昇の勢いが減速していることを示しています。
また、チャート下部に追加した「MACD」でも「弱気のダイバージェンス(価格が下値を切り上げるなか、MACDが上値を切り下げる状態)」が発生していることを示しており、目先は下値リスクに警戒する必要があるかもしれません。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は10月30-31日に予定されている日銀の金融政策。正確には1カ月以内のイベントではありませんが、11月9日に予定されているメキシコ中銀の次回金融政策も以下のイベント情報に加えてあります。
また、特定のイベントというわけではありませんが、ドル円相場でくすぶる政府・日銀からの円買い介入についてもペソ円に大きな影響を及ぼすため、しばらく警戒しておく必要があるでしょう。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
10月9日 メキシコ 9月消費者物価指数(CPI)
10月20日 日本 9月全国CPI
10月30-31日 日本 日銀金融政策決定会合(31日の会合後には植田総裁の記者会見)
11月9日 メキシコ 10月CPI
11月9日 メキシコ メキシコ中銀、政策金利発表