今回解説していく通貨はドル円です。先月末には市場の注目を集めた日米の金融政策が相次いで公表されました。政策金利は日銀が据え置き、米連邦公開市場委員会(FOMC)が25bpの利上げといずれも市場予想通りの結果となりましたが、市場が大きな反応を示したのは日銀の金融政策でした。
長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の運用を巡って、金融政策決定会合の前から思惑的な動きが進み、会合でYCCの柔軟な運用が決定された後も相場は大きく上下。では、チャート上でもドル円の状況を確認していきましょう。
ドル円の週足分析
下図のチャートはドル円の週足チャートになります。前回の分析(5月31日)からどのように推移したかを見ていきますと、長期視点では2021年1月安値を始点する上昇トレンドが継続中です(チャート上の黄色実線)。また、今年1月安値を始点とする短期の上昇トレンド(チャート上の黄色点線)も機能しており、上昇基調に大きな変化は見られていません。
今回はチャート上で昨年10月高値を始点とする下降トレンドライン(チャート上の青色点線)も引いてみましたが、前述したように現在は上昇基調にあるため、こちらは仮想レジスタンスラインといったところ。あくまで上昇基調を維持するためのポイントは直近高値(チャート上の丸で囲った部分)を上抜けられるか、となります。
ドル円の日足分析
今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。チャート上のトレンドライン(黄色点線、青色点線)は週足で解説したものと同じものです。
為替市場では過去にポイントとなった水準はその後も重要なレジスタンスorサポートとなることがありますが、今回はまさにそのケースだったようです。過去に同水準を巡って激しい攻防があった145.00円付近(チャート上の青色実線)は、今年6月末にかけての上昇局面でレジスタンスとして機能。今後も重要なレジスタンスとして意識されることが予想されます。特に次回再び上値を抑えられるような事態となれば、「ダブルトップ」へと向かう可能性もあり、注意が必要です。
その一方で145.00円付近をしっかりと上抜けられると、昨年10月高値も視野に入り、上昇基調にも弾みがつくでしょう。次回の145.00円トライは今後の方向性を占い重要な場面と言えそうです。
もっとも、先行きを警戒しつつも現状が上昇基調にあることは変わりないわけですから、目先は上昇トレンドライン(チャート上の黄色点線)を目処にした押し目買い戦略が有効となります。現水準からはかなり距離がありますので、7月14日安値を始点とした短期上昇ライン(チャート上の黄色実線)を目処にした押し目買いでも良さそうです。なお、この上昇トレンドラインは本日(8月2日)時点で138.30円付近、1か月後には140.10円付近まで上昇する見込みとなっています。
今後のイベントは
最後に今後1か月間の重要イベントも確認しておきます。日米の金融政策などは予定されておらず、市場参加者も多くが夏季休暇に入るため、通常よりも動意の乏しい時期になります。ただ、24-26日には過去に何度も相場の方向性を左右したことがある米ジャクソンホール会議が控えており、注意が必要です。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
8月4日 米国 7月雇用統計
8月10日 米国 7月消費者物価指数(CPI)
8月18日 日本 7月全国CPI
8月24-26日 米国 ジャクソンホール会議
8月31日 米国 7月個人消費支出(PCEデフレーター)
9月1日 米国 8月雇用統計