今回解説していく通貨は豪ドル米ドルです。豪準備銀行(RBA)は6日、政策金利を3.85%から4.10%へと引き上げました。市場予想は3.85%での据え置きでしたから、今回の利上げは予想外の結果に。5月会合でも同様に予想外の利上げを実施しており、2カ月連続でのサプライズ利上げとなった格好です。
6月声明文では追加利上げの可能性にも言及するなど、足もとでは豪金利先高観が高まりつつあり、それが豪ドル相場の下支え要因となっています。では、チャート上でも豪ドル米ドルの状況を確認していきましょう。
豪ドル米ドル週足分析
下図のチャートは豪ドル米ドルの週足チャートになります。長期視点では2021年2月高値を始点とする下落トレンドが継続中です(チャート上の青色実線)。一方、昨年10月安値を始点とする比較的短期の上昇トレンド(黄色実線)も機能しているもよう。
今後はどちらのトレンドラインを試しにいくか注目されますが、上値については前述の下落トレンドのほかに、昨年8月と今年2月の2度に渡って上値を抑えられた「0.71米ドル台半ば(丸で囲った部分)」を上抜けられるかも重要なポイントとなります。
豪ドル米ドルの日足分析
今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。昨年10月安値を始点とする比較的短期の上昇トレンド(黄色実線)は週足分析で紹介したものと同じです。
今年2月高値を始点とする短期の下落トレンド(青色点線)を3月に入ってブレイクすると、3カ月近く0.66-0.68米ドルのレンジ相場(チャート上の四角で囲った部分)が続いていたことがお分かりいただけるかと思います。その後、先月後半になって下方向にレンジを抜けたかと思いきや、すぐに切り返して、というのが現状です。
さらに今回は「DMI」でも見ていきましょう。今月に入って+DIが-DIを上抜け、買いシグナルが点灯。トレンドの強さを表すADXも上昇しており、現状は「比較的はっきりとした上昇トレンド」と言えそうです。
ここからですが、まずは前述したレンジ相場に逆戻りしないかを確認することが先決です。具体的には5月10日高値の0.6818米ドルをしっかりと上抜けられるかがポイントになるでしょう。ただ、執筆時点(6月12日)のすぐ後に重要なイベントが控えているため、詳しくは後述しますがそれまで取引を手控えるべきかもしれません。
今後のイベントは
最後に今後1か月間の重要イベントも確認しておきます。最大の注目は6月13-14日に公表されるFOMCの金融政策。現時点では金利据え置きが見込まれていますが、声明文やパウエルFRB議長の会見などに注目が集まります。また、今回は同時にFOMCメンバーの経済・金利見通しも公表されるため、いわゆるドットチャート(メンバーの政策金利予想をそれぞれひとつのドット(点)として散布図化したもの)にも注意が必要です。
さらに翌月4日には豪準備銀行(中央銀行、RBA)が金融政策を公表します。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
6月13-14日 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC、14日の会合後にはパウエルFRB議長の記者会見)
6月20日 豪州 豪準備銀行(中央銀行、RBA)、金融政策会合議事要旨
6月28日 豪州 5月豪CPI
6月30日 米国 5月個人消費支出(PCEコア・デフレーター)
7月4日 豪州 RBA、政策金利発表
7月5日 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
7月7日 米国 6月米雇用統計
7月12日 米国 6月消費者物価指数(CPI)