今回解説していく通貨はNZドル米ドルです。NZ準備銀行(RBNZ)は今月の金融政策決定会合で政策金利を5.50%で据え置くことを決定。一方で、米国では足もとのインフレ鈍化を背景に早期利下げ観測が高まりつつあり、市場では年内に複数回の利下げを予想する向きが多くなっています。米金利先安観の高まりによって今後は米ドル安方向へと進むか注目されますが、チャート上でもNZドル米ドルの状況を確認していきましょう。
NZドル米ドル週足分析
下図のチャートはNZドル米ドルの週足チャートになります。前回の分析時(4月3日)からの推移を確認すると、2021年2月高値を始点とする下降トレンドライン(チャート上の黄色実線)および2022年10月安値を始点とした上昇トレンドライン(チャート上の青色実線)が継続中。上下とも一時的にトレンドラインを抜ける場面もありましたが、その後すぐに押し戻されていることも考慮すると、現在も概ねレジスタンス・サポートとして機能していると見てよいでしょう。
いわゆる「三角保ち合い」と呼ばれる状態となっています。
ということであれば今後の注目は「三角保ち合い」をどちらにブレイクするか。今回のチャート下部に追加した「DMI」で確認すると+DIと-DIはほぼ同水準に位置し、明確なトレンドが発生していないことを示唆。トレンドの強さを示すADXも低下傾向にあり、現在は様子を見るしかないといったところでしょう。
いったんは様子見姿勢を続けた上で「三角保ち合い」をブレイクした方向についていく。これが基本戦略となりそうですが、前述したように上下のトレンドラインを一時的にブレイクしたとしても、すぐに押し戻される「ダマシ」が起きる可能性があるため、保ち合いブレイクのタイミングは慎重に判断する必要があります。
より安全な基準として直近の高値(今年6月につけた0.6222米ドル)、安値(今年4月につけた0.5852米ドル)は利用しやすいポイントです。いずれもチャート上の丸で囲った部分ですが、この辺りを有効に活用してみましょう。
NZドル米ドルの日足分析
今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。下降トレンドライン(チャート上の黄色実線)と上昇トレンドライン(チャート上の青色実線)は週足分析で紹介したものと同じものです。また、今回の日足チャートでは「一目均衡表」も加えてあります。
一目均衡表で確認すると、現在は転換線<基準線、価格線<抵抗帯(雲)、遅行スパン<26週前の価格線の状態となっており、「三役逆転」の強い売りシグナルが点灯中。日足ベースでははっきりとした下落トレンドとなっています。週足分析で紹介した「三角保ち合い」を下方向にブレイクするチャンスを迎えており、まずは今年4月安値の0.5852米ドル(チャート上の丸で囲った部分)との攻防を注目しておきましょう。
今後のイベントは
最後に今後1か月間の重要イベントも確認しておきます。注目はNZと米国の金融政策。市場では米国が9月のFOMCで利下げを実施するだろうとの期待もあり、今回の声明文などから利下げに向けたヒントを探りたいところ。また、8月22日から毎年恒例のジャクソンホール会議が開催されるため、こちらにも注意が必要です。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
7月26日 米国 6月PCEコア・デフレーター
7月30-31日 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)
8月2日 米国 7月米雇用統計
8月14日 NZ NZ準備銀行(RBNZ)、金融政策委員会(MPC)
8月14日 米国 7月消費者物価指数(CPI)
8月22-24日 米国 ジャクソンホール会議