今回解説していく通貨はメキシコペソ円です。メキシコ銀行(中央銀行)は5月・6月の会合で政策金利の据え置きを決定。2021年8月からスタートした利上げサイクルは休止した格好となりました。一方で、経済状況は好調を維持。過去最高額を更新した国外労働者からメキシコ本国への送金、世界的なニアショアリング(生産拠点を最終消費地に近いところに移転させる)の動きなどがメキシコ経済を下支えしているようです。では、チャート上でもメキシコペソ円の状況を確認していきましょう。
メキシコペソ円の月足分析
下図のチャートはメキシコペソ円の月足チャートになります。前回の分析(4月26日)からどのように推移したかを見ていきますと、2020年4月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)は現在も維持。足もとではさらに買い基調が強まり、2014年12月以来の高値を更新しています。
その一方で、ここからは気になる点も。2014年11月につけた直近高値8.72円、2008年3月安値8.89円(ともにチャート上の青色実線)が接近。レジスタンスとして機能する可能性の高いポイントに迫ってきました。
メキシコペソ円の週足分析
今度は週足でも見ていきます(下図のチャート)。チャート上の上昇トレンドライン(黄色実線)および青色実線は月足で紹介したものと同じものです。直近の動きをみると昨年12月安値を起点とした比較的短期の上昇トレンド(チャート上の黄色点線)も機能しているようです。基本的にはこの短期上昇トレンドラインを目処にした押し目買い姿勢で臨むことが無難でしょう。
ただ、月足分析でも紹介しましたが、レジスタンスとなる可能性が高い水準は間近にあるため、ここから積極的に上値を追いかけていくのは慎重に試したほうがよさそうです。
別のアプローチでも上値目標を探ってみましたが、「一目均衡表の水準論」で計算すると、前述の昨年12月安値を起点とするE計算値は8.71円付近。チャート上の青色実線とほぼ合致したほか、V計算値に至っては8.51円と今年の年初来高値と同値となりました(N計算値、NT計算値はすでに上抜け)。
足もとの相場から上昇基調が崩れる要素は見当たりませんが、相場の大きな転換点が迫っているのか。ここからの動きを見極めていきたいところです。
今後のイベントは
最後に今後1か月間の重要イベントも確認しておきます。注目は日・メキシコの金融政策。両中銀ともに金融政策の現状維持を決めると予想されていますが、大規模緩和政策を継続する日銀と過去最高水準の金利を維持するメキシコ中銀では大きな違いがあります。
また、今年も世界中の市場参加者が注目する米ジャクソンホール会議が近づいてきました。メキシコペソ円に直接的な影響があるかは分かりませんが、為替相場全体が動意づく可能性もあるため、こちらにも注意しておきましょう。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
7月27-28日 日本 日銀金融政策決定会合(28日の会合後には植田総裁の記者会見)
8月9日 メキシコ 7月消費者物価指数(CPI)
8月10日 メキシコ メキシコ中銀、政策金利発表
8月18日 日本 7月全国CPI
8月24-26日 米国 ジャクソンホール会議