FX 誰にでもわかるチャート教室

第55回 今後のメキシコペソ円相場

今回解説していく通貨はメキシコペソ円です。メキシコ銀行(中央銀行)は5月・6月の会合で政策金利の据え置きを決定。2021年8月からスタートした利上げサイクルは休止した格好となりました。一方で、経済状況は好調を維持。過去最高額を更新した国外労働者からメキシコ本国への送金、世界的なニアショアリング(生産拠点を最終消費地に近いところに移転させる)の動きなどがメキシコ経済を下支えしているようです。では、チャート上でもメキシコペソ円の状況を確認していきましょう。


メキシコペソ円の月足分析

下図のチャートはメキシコペソ円の月足チャートになります。前回の分析(4月26日)からどのように推移したかを見ていきますと、2020年4月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)は現在も維持。足もとではさらに買い基調が強まり、2014年12月以来の高値を更新しています



その一方で、ここからは気になる点も。2014年11月につけた直近高値8.72円、2008年3月安値8.89円(ともにチャート上の青色実線)が接近。レジスタンスとして機能する可能性の高いポイントに迫ってきました


メキシコペソ円の週足分析

今度は週足でも見ていきます(下図のチャート)。チャート上の上昇トレンドライン(黄色実線)および青色実線は月足で紹介したものと同じものです。直近の動きをみると昨年12月安値を起点とした比較的短期の上昇トレンド(チャート上の黄色点線)も機能しているようです。基本的にはこの短期上昇トレンドラインを目処にした押し目買い姿勢で臨むことが無難でしょう。



ただ、月足分析でも紹介しましたが、レジスタンスとなる可能性が高い水準は間近にあるため、ここから積極的に上値を追いかけていくのは慎重に試したほうがよさそうです。

別のアプローチでも上値目標を探ってみましたが、「一目均衡表の水準論」で計算すると、前述の昨年12月安値を起点とするE計算値は8.71円付近。チャート上の青色実線とほぼ合致したほか、V計算値に至っては8.51円と今年の年初来高値と同値となりました(N計算値、NT計算値はすでに上抜け)

足もとの相場から上昇基調が崩れる要素は見当たりませんが、相場の大きな転換点が迫っているのか。ここからの動きを見極めていきたいところです。


今後のイベントは

最後に今後1か月間の重要イベントも確認しておきます。注目は日・メキシコの金融政策。両中銀ともに金融政策の現状維持を決めると予想されていますが、大規模緩和政策を継続する日銀と過去最高水準の金利を維持するメキシコ中銀では大きな違いがあります。

また、今年も世界中の市場参加者が注目する米ジャクソンホール会議が近づいてきました。メキシコペソ円に直接的な影響があるかは分かりませんが、為替相場全体が動意づく可能性もあるため、こちらにも注意しておきましょう。その他のイベントは以下の通りとなります。


今後1カ月の重要イベント

7月27-28日 日本 日銀金融政策決定会合(28日の会合後には植田総裁の記者会見)

8月9日 メキシコ 7月消費者物価指数(CPI)

8月10日 メキシコ メキシコ中銀、政策金利発表

8月18日 日本 7月全国CPI

8月24-26日 米国 ジャクソンホール会議

この連載の一覧
第93回 メキシコペソ円、上昇トレンドは健在だが・・
第92回 トルコリラ円、大きなチャンス到来か
第91回 豪ドル米ドル、上方向は攻めづらい
第90回 NZドル米ドル、トレンド転換につながる注目ポイントに接近
第89回 ユーロドル、ヘッド・アンド・ショルダーズの完成なるか
第88回 ドル円、5月中にも上方向へブレイクか
第87回 豪ドル円、上昇トレンド継続に黄色信号
第86回 NZドル円、上昇トレンド継続も目先は調整リスク
第85回 ポンドドル、長期下降トレンドの転換は間近?
第84回 ランド円、上昇トレンドは本物か
第83回 メキシコペソ円、レンジブレイクのチャンス到来
第82回 ユーロドル、レンジ相場脱却の手掛かりは乏しい
第81回 トルコリラ円、昨年8月以来のチャンスをものにできるか
第80回 ドル円、上昇トレンドを維持も上値追いは慎重に
第79回 NZドル米ドル、長期下落トレンドのブレイクは失敗か
第78回 豪ドル米ドル、依然として下落トレンド
第77回 ポンド円、来年以降の下値リスクに警戒
第76回 ランド円、ヘッドアンドショルダーズの可能性高まる
第75回 メキシコペソ円、レンジ相場がしばらく継続か
第74回 ユーロドル、メインシナリオはレンジ相場
第73回 ドル円、ポイントは一目均衡表雲の維持
第72回 低迷ぶりが際立つトルコリラ円、反発の可能性は?
第71回 豪ドル円、上値トライのチャンスだが力強さを欠く
第70回 NZドル円、いよいよ過去最高値も視野入りか
第69回 ユーロ円、月足チャートでは不安なし 週足では?
第68回 ポンドドル、一目雲に接近で正念場に
第67回 ランド円、ヘッドアンドショルダーズの懸念消えず
第66回 NZドル米ドルに反発のチャンス到来?
第65回 好調なメキシコペソ円に失速の気配
第64回 ドル円、150円台までは介入の可能性低い
第63回 カナダドル円、110円台への再挑戦が迫る
第62回 リラ円、一目雲を数年来上抜けできず
第61回 今後の豪ドル米ドル相場
第60回 今後のユーロドル相場
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第58回 今後のランド円相場
第57回 今後のNZドル円相場
第56回 今後のドル円相場
第55回 今後のメキシコペソ円相場
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第39回 ダウ理論とエリオット波動(3)
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第33回 一目均衡表(4)
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第29回 リトレースメント
第28回 避けられるリスク(その他の国編)
第27回 避けられるリスク(英国・オセアニア編)
第26回 避けられるリスク(日本・欧州編)
第25回「誰にでもわかるチャート教室」 避けられるリスク(米国編)
第24回「誰にでもわかるチャート教室」 ポイント&フィギュア
第23回「誰にでもわかるチャート教室」 練行足とカギ足
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第20回「誰にでもわかるチャート教室」 エンベロープとボリンジャーバンド
第19回「誰にでもわかるチャート教室」 MACD
第18回「誰にでもわかるチャート教室」 ROC
第17回「誰にでもわかるチャート教室」 突発的な急変動に対処する
第16回「誰にでもわかるチャート教室」 DMI
第15回「誰にでもわかるチャート教室」 サイコロジカル・ライン
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第13回「誰にでもわかるチャート教室」 ストキャスティクス
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第11回「誰にでもわかるチャート教室」 時間軸の考え方
第10回「誰にでもわかるチャート教室」 フォーメーションあれこれ~その4
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第7回「誰にでもわかるチャート教室」 フォーメーションあれこれ~その1
第6回「誰にでもわかるチャート教室」 移動平均線~その2
第5回「誰にでもわかるチャート教室」 移動平均線~その1
第4回「誰にでもわかるチャート教室」チャネルラインと外国為替市場の独自性
第3回「誰にでもわかるチャート教室」相場の方向性が一目瞭然、トレンドライン
第2回「誰にでもわかるチャート教室」相場のトレンドを探る
第1回「誰にでもわかるチャート教室」 相場が不安定だからこそ、チャート分析に頼りたい

為替情報部 アナリスト

岩間 大祐

大学卒業後の2004年に国内証券会社に入社。 外国為替証拠金取引業務に携わった後、金融情報サービス会社にて個人投資家向けの為替情報配信業務を担当。市況サービスのほか、テクニカル分析を軸にした情報を配信する。 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト。

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