今回解説していく通貨はトルコリラ円です。トルコ銀行(中央銀行)は前回の解説(11月27日)以降に開催した金融政策決定会合で利下げ方針へと転換。インフレ抑制が進んだことを受けた措置でしたが、足もとでは再びインフレ警戒感が高まってきました。ただ、市場はトルコ金融当局がインフレ抑制に手間取っているという認識からトルコリラ売りで反応しています。日銀の追加利上げ観測がくすぶる中で円買い圧力も意識されるなか、今後もリラ円の下値リスクに注意が必要となりそうです。
では、チャート上でも改めてトルコリラ円の状況を確認していきましょう。
トルコリラ円の週足分析
下図のチャートはトルコリラ円の週足チャートになります。前回の解説(11月27日)からの推移を確認すると、昨年12月下旬から4.49円まで上昇したものの、11月15日につけた4.55円を上回ることができずに失速。足もとでは4.10円台まで押し戻されました。
現在は2023年8月高値を始点とする下降トレンドライン(チャート上の青色実線)に上値を抑えられる状況が続いており、以前よりも勢いは穏やかながら下落トレンドが継続中。
さらにチャート下部に追加した「DMI」で見ても、-DI>+DI(下落トレンド)を示唆しており、トレンドの強さを示すADXもはっきりとした上昇傾向にあります。
昨年9月16日につけた過去最安値の4.11円(チャート上の赤丸で囲った部分)を近く試しにいく可能性は高そうです。
トルコリラ円の日足分析
次に日足で直近の状況を確認してきましょう(下図のチャート)。チャート上の青色実線および赤丸で囲った部分は週足分析で紹介したものと同じものです。
チャート下部には同じく「DMI」を追加してありますが、こちらも週足と同様に-DI>+DI(下落トレンド)を示唆。ADXも上昇傾向にあり、日足ベースでも下落トレンドにあるようです。
また、昨年11月高値と12月高値(チャート上の青丸で囲った部分)で上値を抑えられて失速、ネックラインも下抜けした様子から「ダブルトップ」が成立したようにも見受けられます。その過程に基づくとダブルトップからの目標値は4.05円付近となり、過去最安値も下抜けていよいよ節目の4.00円も視野に入ってくる可能性があります。
一方で、戻りの目処となるのは現在4.40円付近に位置する下降トレンドライン(チャート上の青色実線)となります。ここを上抜けたうえで直近高値(昨年11月高値と12月高値)を超えて、ようやくトレンド転換に至るという流れでしょう。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は日・トルコ両国の金融政策。トルコに関しては現状、インフレの進行=リラ売りの構図となっているため、利上げ期待の高まりが買い材料視されない点には注意が必要です。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
2月21日 日本 1月全国消費者物価指数(CPI)
3月3日 トルコ 2月CPI
3月6日 トルコ トルコ中銀、金融政策決定会合
3月18-19日 日本 日銀金融政策決定会合