今回解説していく通貨は豪ドル円です。豪準備銀行(中央銀行、RBA)は4月会合で利上げ休止を決断。昨年5月から10会合連続で利上げが実施されてきましたが、ここにきて局面に大きな変化が見られています。チャート上でもしっかりと状況を確認していきましょう。
豪ドル円の週足分析
下図のチャートは豪ドル円の週足チャートになります。長期視点では2020年3月安値を始点する上昇トレンドラインを昨年12月にブレイクしました(チャート上の黄色実線)。現在は昨年9月高値を始点とする下降トレンド(青色実線)が機能している状態です。
また、今回は「MACD」でも見ていきましょう。MACDは負の値となっており、現在が下降トレンドであることを示しています。今年2月には一時的にMACDが正の値に転換したものの、いわゆる「ダマシ」に終わったようです。
豪ドル円の日足分析
今度は日足でも見ていきましょう(下図のチャート)。今回は通常のローソク足チャートに「一目均衡表」も付加しています。直近の安値は3月24日につけた86.06円。その後は買い戻しが進み、4日には90円台を回復する場面も見られました。
一目均衡表で見ると、基準線>転換線、雲(抵抗帯)>価格線、価格線>遅行スパンとなっており、いわゆる「三役逆転」で売りシグナルが点灯している状況です。転換線が下値を切り上げて基準線に接近していますが、基準線の方向が下向いているため、今後クロスしたとしても慎重な判断が求められるでしょう。
今後の展望は
材料が出揃いましたので、今後を展望していきましょう。週足で確認したように現在は「下降トレンド」と見るべきで、基本的には戻り売り方針が有効となります。ポイントとなる昨年9月高値を始点した下降トレンドラインは執筆時点で91円台前半に位置しており、今月末には90円台後半まで切り下がる見込みです。同線が戻りの目処として意識されるでしょう。
また、もう一つ気をつけておきたいのが週足チャート上の黒色実線部分。過去にレジスタンスとして意識されていた水準が上抜けた後は一転してサポートに、というのはよくある話ですが、今回も3月24日に下値を試した場面では黒色実線で下げ止まりました。逆に言えば同水準をしっかりと下抜けると、さらに下げ余地が拡大することになるため、今後も注意が必要となります。
最後に今後の重要イベントも確認しておきます。最大の注目は4月27-28日の日銀金融政策決定会合でしょう。植田新総裁就任後の初会合となり、政策変更への思惑はやや後退しているものの、直前になれば再び注目を集めることになりそうです。また、5月2日のRBA金融政策も注目されます。その他のイベントは以下の通りです。
今後1カ月の重要イベント
4月18日 豪準備銀行(中央銀行、RBA)、金融政策会合議事要旨公表
4月26日 1-3月期豪四半期消費者物価(CPI)
4月26日 3月期豪CPI
4月27-28日 日本 日銀金融政策決定会合(28日の会合後には植田新総裁の記者会見)
5月2日 RBA、政策金利発表
5月5日 RBA、四半期金融政策報告