今回解説していく通貨は南アフリカ・ランド円です。日銀は先月の金融政策決定会合で0.25%の利上げを実施。一方で、南アフリカ準備銀行(中央銀行、SARB)は0.25%の金利引き下げを決定しており、今後も日・南ア間の金利差は縮小していくことになりそうです。もっとも、SARBに関しては前回の会合でも6人のメンバーのうち2人が金利据え置きを主張しており、今後の利下げペースについては慎重に見ていく必要があるでしょう。
では、チャート上でもランド円の状況を確認していきましょう。
ランド円の週足分析
下図のチャートはランド円の週足チャートになります。前回の分析(11月6日)からどのように推移したかを見ていきますと、11月初旬に8.87円まで上昇する場面があったものの、7月に急落が起きる前につけた直近高値の8.97円(チャート上の丸で囲った部分)などをトライするには至らず、その後には8.1円台まで押し戻される場面も見られました。
2020年4月安値を始点とする上昇トレンド(チャート上の黄色実線)は維持できているものの、目先はややレンジも狭まりつつあり、新たな短期の方向性が示される状態待ちといったところでしょうか。
なお、チャート下部に追加した「DMI」でもトレンドの強さを示すADXが少なくとも2020年以来の水準まで低下しており、やはり足もとでは明確なトレンドがない状況であることを示しています。
ランド円の日足分析
では、今度は短期的な視点でランド円の方向性を探っていきましょう。下図のチャートはランド円の日足チャート(3日執筆時点)になります。
チャート上の黄色実線は週足分析で紹介した2020年4月安値を始点とする上昇トレンドラインです。足もとの相場は昨年11月高値を始点とする下降トレンドライン(チャート上の青色実線)と8.18円付近(チャート上の黄色点線)で形成された「ディセンディング・トライアングル(下降三角形)」のような構図。
足もとでは8.18円付近を下抜けかけており、この水準を明確に切れてしまうと昨年9月安値の7.86円や8月安値の7.60円(いずれもチャート上の丸で囲った部分)が視野に入ってきます。また、同時に2020年4月安値を始点とする上昇トレンドライン(3日時点では7.65円付近で推移)をブレイクする可能性も高まるため、一気に相場転換ともなりかねないポイントです。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。イベント・経済指標は両中銀とも先月後半に金融政策イベントを消化したばかりということもあって少な目。といったこともあり、目先は政治関連に注目が集まりそうです。トランプ米大統領は3日、南アフリカへの今後の資金拠出を全て打ち切る方針を表明。この動きから一時ランドが売り込まれましたが、当面は南ア側の対応も含めて米国との政治・経済協力体制の行方に注意が必要となりそうです。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
2月19日 南ア 1月消費者物価指数(CPI)
2月21日 日本 1月全国CPI