今回解説していく通貨はユーロ円です。欧州中央銀行(ECB)は前回の分析(8月14日)に以降も断続的に金利を引き下げて現在は3.40%となっており、今週12日の理事会でも追加利下げが濃厚です。一方、日銀は金利の据え置きを続けてきましたが、18-19日の金融政策決定会合を前に追加利上げを巡る思惑も浮上。当面は円相場も神経質な動きを強いられそうな気配です。では、チャート上でもユーロ円の状況を確認していきましょう。
ユーロ円の週足分析
下図のチャートはユーロ円の週足チャートになります。前回の分析(8月14日)からの推移を見ていくと、節目の160.00円を挟んでもみ合いとなった後、10月末には一時166.69円まで上昇する場面も見られました。ただ、その後は上値を切り下げる動きとなり、前週には156円台前半まで調整が入っています。
2022年3月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)は9月前半に再び下抜けたため、前回指摘した「ダマシ」の可能性はなくなりました。
ここからは新たなトレンドを模索することになりますが、目下の注目ポイントとなりそうなのが8月5日につけた直近安値154.42円(チャート上の青色実線)の存在です。9月中旬には一度サポートとして機能し、いったんは買い戻しが入ったものの、足もとでは再び同水準に接近しています。戻りの鈍さを確認した後ということもあり、この安値を下抜けると今度の調整は一段と深くなる可能性が高いでしょう。同水準を維持できるか如何が今後の試金石となりそうです。
ユーロ円の日足分析
今度は日足でも今後の動きを確認していきましょう(下図のチャート、12月9日執筆時点)。チャート上の青色実線は週足分析と同じものです。今回は「一目均衡表」も加えてあります。
「一目均衡表」によると、価格線<雲、転換線<基準線、遅行スパン<価格線が成立しており、強い売りシグナルとされている「三役逆転」が点灯中。さらにチャート下部に追加した「DMI」も当然ながら-DI>+DI(下落トレンド)を示唆しています。トレンドの強さを示すADXも上昇基調にあり、近いうちに直近安値(青色実線)を試しにいく可能性も否定できない状況です。
その中でポジティブな材料を探すとすれば、直近安値(青色実線)の手前で再び下値を確認したように見える点でしょうか(チャート上の丸で囲った部分)。執筆時点(12月9日)で下値トライがこれで終わったと判断するのは時期尚早でしょうが、ここから買い戻しが進めば自然と「一目均衡表」や「DMI」などのテクニカル指標も改善していくことになるでしょう。
ここから再び下値トライとなるのか、それとも買い戻しが進むのか、この先数日間の動きは今後を占う上でも重要なポイントとなりそうです。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は日・欧の金融政策。日銀の追加利上げについては現時点でも市場で明確なコンセンサスができておらず、直前まで観測報道などに振り回されることが予想されます。また、欧州ではフランスの政局不安が広がっていることに加え、ドイツでも来年2月に総選挙が控えており、しばらくは政治関連のニュースにも注意しておきましょう。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
12月12日 ユーロ圏 欧州中央銀行(ECB)定例理事会
12月18-19日 日本 日銀金融政策決定会合
12月20日 日本 11月全国消費者物価指数(CPI)