今回解説していく通貨はメキシコペソ円です。メキシコ銀行(中央銀行)は今年3月に最後の利上げを決めて以降は金利据え置きを続けてきましたが、ここにきて中銀当局者から利下げについての言及が相次ぎました。一方、日銀は植田総裁の発言をきっかけに政策修正思惑が広がり、今月に入ってからは円相場が急伸する場面も見られています。両中銀とも今後の金融政策が気になるところですが、チャート上でもメキシコペソ円の状況を確認していきましょう。
メキシコペソ円の週足分析
下図のチャートはメキシコペソ円の週足チャートになります。前回の分析(10月4日)からどのように推移したかを見ていきますと、2014年11月高値8.72円や2008年3月安値8.89円(ともにチャート上の青色実線)などの重要ポイントを明確に上抜けできず、その後は買いも一服。現在も高値圏でのもみ合いが続いている状況です。一方で下方向に目を向けると、2022年3月安値を起点とした上昇トレンドライン(黄色実線)は機能しています。
ここからの方向性として、まず目につくのはレンジ相場(チャート上の四角で囲った部分)入りの可能性でしょう。足もとのメキシコペソ円は8円台の比較的狭い範囲で上下を繰り返しており、今後クリスマス・年末相場を迎えるにあたってレンジ脱却は難しくなるかもしれません。
メキシコペソ円の日足分析
今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。チャート上の上昇トレンドラインと平行に引いたチャネルライン(いずれも黄色実線)および青色実線は週足で紹介したものと同じものです。
現在がレンジ相場だと仮定するのであれば、レンジ相場のブレイクポイントである上限・下限について確認しておく必要があります。チャート上の丸で囲った部分がそれにあたり、レンジ上限は8.78円、下限は8.08円です。レンジプレイを仕掛ける、もしくはレンジ相場の間は様子見するなどの方針であれば、この辺りの水準を意識しておきましょう。
なお、下方向についてはレンジ下限の8.08円のほかに、当然ながら上昇トレンドラインもサポートとして意識されるでしょう。このトレンドラインは本日時点で7.80円付近に位置しており、1カ月後には7.92円付近まで切り上がる見込みとなっています。
一方で上方向はまずレンジ上限(8.78円)や過去の重要ポイント(2008年3月安値8.89円)などの上抜けを確認したいところ。チャネルラインから考慮すると、本日時点でも9円台前半まで上昇する余地がありそうです。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は年内最後となる両国中銀の金融政策。メキシコ中銀は来年以降の利下げ転換を巡って声明文が注目されることになるでしょう。日銀については足もとで政策修正期待が急速に高まっており、会合当日まで関連報道などで円相場が大きく振らされる可能性もあるため、注意が必要となります。それが終了すると市場もクリスマスモードに突入。徐々に値動きも限られてくるでしょう。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
12月14日 メキシコ メキシコ中銀、政策金利発表
12月18-19日 日本 日銀金融政策決定会合(19日の会合後には植田総裁の記者会見)
12月22日 日本 11月全国消費者物価指数(CPI)