今回解説していく通貨は豪ドル円です。豪準備銀行(RBA)は2月に開催された直近の会合でついに金融緩和へと舵を切りましたが、声明文では追加緩和に対して慎重な姿勢を示すなど、今後も緩和ペースは穏やかなものとなりそうです。
一方で日銀ですが、本日まで開催されている金融政策決定会合では金利の据え置きが見込まれているものの、好調な賃上げが続く中で追加利上げ観測も根強く残っています。総じて日・豪金利差は今後縮小していく見込みですが、チャート上でも豪ドル円の状況を確認していきましょう。
豪ドル円の週足分析
下図のチャートは豪ドル円の週足チャートになります。前回の分析(12月25日)からどのように推移したかを見ていきますと、今年に入ってから次第に売り圧力が強まり、3月11日には91.82円まで下押す場面も見られました。
今年以降の下押し局面では、前回解説した昨年9月11日安値を起点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色点線)、2020年3月安値を起点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)をいずれも下抜けてきました。
これで2020年来の上昇トレンドが終了したと判断するのは尚早ですが、少なくとも現在が調整局面に入ったことは間違いないところ。目先は昨年8月5日安値の90.15円や2023年3月安値の86.06円(いずれもチャート上の丸で囲った部分)などが下値の目処として意識されるでしょう。
なお、今回のチャート下部に追加した「DMI」では-DI>+DI(下落トレンド)を示唆しており、トレンドの強さを示すADXも足もと上昇傾向。「DMI」ではしっかりとした下落基調が示されています。
豪ドル円の日足分析
では今後の方向性を短期的な視点からも探っていきましょう。下図のチャートは豪ドル円の日足チャートになります。チャート内の黄色実線は週足分析で紹介したものと同じトレンドラインです。
足もとではやや買い戻しが入っているようですが、問題は昨年11月高値を始点とする短期の下降トレンドライン(チャート上の青色点線)をブレイクできるか否か。同水準付近には「一目均衡表」の雲下限も控えており、下降トレンドラインと併せてレジスタンスとして意識されそうです。なお、一目均衡表によると現状は転換線<基準線、遅行スパン<価格線、価格線<抵抗帯(雲)が成立しており、強い売りシグナルとされる「三役逆転」が点灯中です。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は日・豪中銀の金融政策。本日の日銀金融政策決定会合では金利据え置きが予想されていますが、前週末に公表された春闘の第一回集計では平均賃上げ率が約34年ぶりの水準を記録しており、植田日銀総裁が足もとの賃金上昇の流れに関してどのような見解を示すか注意しておきましょう。また、RBAの政策理事会ではインフレ動向に対する見解が注目されます。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
3月18-19日 日本 日銀金融政策決定会合
3月21日 日本 2月全国消費者物価指数(CPI)
3月26日 豪州 2月CPI
3月31日-4月1日 豪州 豪準備銀行(RBA)金融政策理事会
4月18日 日本 3月全国CPI