今回解説していく通貨は南アフリカ・ランド円です。南アフリカ準備銀行(中央銀行、SARB)は11月23日に開催した年内最後の金融政策決定会合で、3会合連続での金利据え置きを決定。全会一致での決定となり、金融政策委員会(MPC)の5名のうち2名が25bpの利上げを主張していた前回(9月21日)から大きな変化が見られました。
もっとも、クガニャゴ総裁は「インフレ見通しに対して深刻な上振れリスクはなお残る」「リスクが現実化し始める場合には行動する用意がある」などの見解を示しており、今後のインフレ動向次第では年明け以降のMPCで再び利上げ思惑が浮上する可能性もありそうです。では、チャート上でもランド円の状況を確認していきます。
ランド円の週足分析
下図のチャートはランド円の週足チャートになります。前回の分析(10月18日)からどのように推移したかを見ていきますと、今年5月安値を始点とする上昇トレンド(黄色実線)を維持できず、今月に入ってトレンドラインをブレイク。チャート下部に追加した「MACD」でも同時期にマイナス圏に転落し、売りシグナルが発生しました。
また、2021年6月高値(チャート上の丸で囲った部分、8.18円)は11月中旬に一時上抜けましたが、その後はすぐに下げに転じるなど、「ヘッドアンドショルダーズ」を形成する可能性はむしろ高まりつつあるようです。ポイントは前述した今年5月安値(6.91円)の下抜けとなりますので、今後も注意しておきましょう。
ランド円の日足分析
今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。今年5月安値を始点とする上昇トレンドライン(黄色実線)は週足分析で紹介したものと同じものです。今回は「一目均衡表」も追加しています。
一目均衡表によると、遅行スパンは価格線を下回っており、価格線も雲を下抜け、転換線が基準線を下回ってきました。いわゆる「三役逆転」の強い売りシグナルが点灯しており、執筆時点(12月18日)ではやや買い戻しが入っているものの、依然として下値リスクをより警戒すべきでしょう。ターゲットとなるのは12月7日安値の7.56円や7月7日安値の7.46円など(いずれもチャート上の丸で囲った部分)。これらを下抜けると年初来安値の6.91円も視野に入ってきます。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。今後は市場全般がクリスマス・年末モードへと入り、市場参加者も減少。相場の方向感も乏しくなるかもしれません。明けて2024年1月は期間内ではないですが、日銀(1月22-23日)・南アフリカ準備銀行(SARB、1月25日)に金融政策の公表が控えており、再び市場の注目を集めることになりそうです。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
12月22日 日本 11月全国消費者物価指数(CPI)
1月19日 日本 12月全国CPI
1月24日 南ア 12月CPI