今回解説していく通貨はユーロドルです。前週には米連邦公開市場委員会(FOMC)が予想通り政策金利の据え置きを決定。その後の記者会見でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は早期の金利引き下げについて、改めて慎重な姿勢を示しました。これに対して欧州中央銀行(ECB)は早ければ4月にも利下げを開始すると予想されており、今後も欧米の金融政策を巡ってユーロドル相場も上下に振らされることになりそうです。では、チャート上でもユーロドルの状況を確認していきましょう。
ユーロドルの週足分析
下図のチャートはユーロドルの週足チャートになります。前回の解説(12月6日)からの経過をみていくと、昨年末に一時1.1139ドルまで上値を試す場面があったものの、その後は伸び悩む展開となり、1.10ドル台の定着には至りませんでした。足もとでは1.07ドル台まで押し戻されており、前回の解説でも指摘した1.05-1.10ドル台を中心としたレンジ相場(チャート上の四角で囲った部分)が続いているようです。
また、今回はチャート下部に「DMI」を追加していますが、現在は+DIと-DIがほぼ重なっており、トレンドがないことを示唆。トレンドの強さを示すADXも低下傾向が続いており、レンジ相場脱却の手掛かりは乏しい状態です。
ユーロドルの日足分析
では、今度は日足でも相場を確認していきましょう(下図のチャート)。こちらでもチャート下部に「DMI」を追加しています。昨年11月安値を起点とした短期の上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)を今年に入ってブレイクし、目先は下落基調にあるようです。DMIでもDI>+DIとなっており、現在が下降トレンドであることを示唆。ただ、ADXからはトレンドの弱さも意識されており、ここから売りを進めていくにしても慎重に動く必要がありそうです。
なお、目先の下値目処としては昨年12月8日安値(チャート上の青丸で囲った部分)近辺がポイントとなるでしょう。その他では週足分析で示したレンジ相場の下限にあたる昨年10月3日安値の1.0448ドル(チャート上の赤丸で囲った部分)も当然ながら下値の目処として意識されます。特に後者を下抜けると目立った下値支持がなくなり、1.00ドルの大台割れまで一気に視野入りとなるため、下値リスクが拡大します。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は3月7日に予定されている欧州中央銀行(ECB)の金融政策。市場では4月からの利下げ開始を織り込む動きが進むなか、今回の声明文やラガルドECB総裁の会見で早期の利下げ転換が示唆されるか注目となります。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
2月13日 米国 1月消費者物価指数(CPI)
2月29日 米国 1月PCEコア・デフレーター
3月1日 ユーロ圏 2月消費者物価指数(HICP、速報値)
3月7日 ユーロ圏 欧州中央銀行(ECB)理事会