今回からチャート分析の解説を始めていきますが、チャート分析の主要な目的は現在の相場の方向性(トレンド)を把握することです。
そもそもテクニカル分析とは過去に何が起きたか(値動き)をチャートで表し、そのチャートを分析することで将来の価格推移を予想するもの。現在のトレンドを探り、そのトレンドが継続するのか、トレンドが転換するのか、を分析することで、今後の相場の予測が立てられることになります。
3つのトレンドを見つけよう
トレンドは「上昇トレンド」「下降トレンド」「横ばいトレンド」の3つに分けられます。下図はユーロ円のチャート。しっかりと「上昇・下降・横ばいトレンド」が確認できますね。
簡単に言えば、現在の価格推移が上昇トレンドであれば買いを、下降トレンドであれば売りを入れることで利益が得られるわけですから、現在の相場のトレンドを把握することは最も基本的かつ重要なことになります。
なお、「横ばいトレンド」は「トレンドがない」との見方もできますが、決して軽視するべきではありません。横ばいの値幅(レンジ)を確認することで値幅の上限付近で売り、下限付近で買いといったトレード(いわゆるレンジトレード)も有効になります。
現在のトレンドは続いている?
続いてのステップは現在のトレンドが確認できたとして、まだそのトレンドが続いているのかという問題です。その際には過去の高値・安値が重要になってきます。
下図は6月23-24日のドル円のチャート。『24日は朝方からドル円の下落が進み、短期的な下降トレンドを形成。さて、前日(23日)の安値に迫りましたが、相場はここで反転。短期の下降トレンドは転換して、以後は上昇していきます。』これも過去の値動きが将来に影響を及ぼした典型例と言えるでしょう。
投資家心理が相場に影響を与える
こうした動きの背景には投資家の心理が大きく関わってきます。価格は買い手と売り手の行動によって形成されているわけですから、当然ですが買い手・売り手の心理も相場を左右することになります。
買い手・売り手ともに前日の安値を「下値を支える可能性がある重要なポイント」と判断したため、買い手は前日安値を目処として買い支える行動を、売り手は前日安値が目処として機能したことを確認して売りを諦める行動を取った結果、トレンドが転換することになりました。
ちなみに仮定の話になりますが、こうした「下値を支える可能性がある重要なポイント」を下抜けた場合、売りの流れが加速することがよくあります。売り手が重要なポイントを下抜けたことで勢いづいた一方、買い手は諦めて買いポジションを手仕舞う(損失確定の売りを入れる)ために起きる現象です。
もう一つの手段「トレンドライン」
ここまでチャート分析の目的であるトレンド、そしてトレンドの継続・転換の有無を判断する際に過去の高値や安値が利用されるケースを紹介しました。
次回はトレンドが継続しているか、変化したのかを判断するもう一つの手段「トレンドライン」についてお話していきたいと思います。