今回解説していく通貨はトルコリラ円です。トルコでは14日に注目の大統領選挙が実施され、現職のエルドアン大統領と野党統一候補のクルチダルオール氏による決選投票が28日に行われることになりました。為替市場にも大きな影響を及ぼすことが予想される決選投票前に、チャート上でもトルコリラ円の状況をしっかりと確認していきましょう。
トルコリラ円の週足分析
下図のチャートはトルコリラ円の週足チャートになります。2021年にはエルドアン大統領による中銀金融政策への介入などもあって大きく上下に振れたため、相場の方向感も読みづらくなりましたが、2022年以降は着実に上値を切り下げる展開が続いています。
一方、今回のチャート下部に追加した「MACD」は2022年以降、下値を切り上げる動き。足もとでもMACDは正の値(短期EMA>長期EMA)を示しています。本来であれば買いの局面なのでしょうが、上値を切り下げる相場状況を考慮すると「ダイバージェンス」が発生している可能性もありそうです。
トルコリラ円の日足分析
今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。2021年の急変動が一巡した後、現在は2022年4月高値を始点とする下降トレンド(青色点線)が継続しています。一方、下値は今年に入って6.70円付近がサポート水準として機能。今後はこの両線のどちらを試しにいくかが重要なポイントとなるでしょう。
上値に関して言えば、前述の下降トレンドラインも大事ですが、まずは今年3月につけた直近高値(円で囲った部分)超えに注目。前回の高値を上抜けることで相場の大きな転換につながる可能性があります。これに対して下値は6.70円近辺のサポートをしっかりと下抜けると、2021年につけた過去最安値の6.17円まで下値余地が拡大するでしょう。
現状では値幅の限られる状態が続いていることもあり、相場がどちらかに動き出すまでは様子見。相場の趨勢を確認した後にポジションを構築していく方針が無難かもしれません。
今後の展望は
最後に今後1か月間の重要イベントも確認しておきます。
最大の注目は28日に予定されているトルコ大統領選の決選投票。足もとではトルコリラ円の値動きが徐々に鈍くなっており、エネルギーが蓄積された状態です。28日の決選投票をきっかけにした相場が大きく動き出す可能性も高そうです。28日の前にはポジション管理を徹底することをお勧めします。
また、その前週にはトルコ中銀の金融政策公表も控えていますので、こちらにも注意が必要です。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
5月19日 日本 4月全国消費者物価(CPI)
5月25日 トルコ トルコ中銀、政策金利発表
5月28日 トルコ トルコ大統領選挙、決選投票
6月5日 トルコ 5月消費者物価指数(CPI)
6月15-16日 日本 日銀金融政策決定会合