今回解説していく通貨はドル円です。日銀は植田総裁の下でも現在の金融緩和策を継続していく方針が明らかになった一方、米国では金融引き締めの長期化観測が高まり、日米間の金融政策の方向性の違いが明確になってきました。ドル円は日米金利差拡大への思惑から半年ぶりに140円の大台を回復してきましたが、チャート上でもドル円の状況を確認していきましょう。
ドル円の週足分析
下図のチャートはドル円の週足チャートになります。長期視点では2021年1月安値を始点する上昇トレンドが継続中です(チャート上の黄色実線)。一方、昨年10月高値を始点とする下降トレンド(青色実線)は4月にブレイク。今年1月安値を始点とする短期の上昇トレンド(黄色点線)は機能しており、足もとでは上昇基調がはっきりとしてきました。
さらに今回は「ROC」でも見ていきましょう。ROC は4月下旬から一時的にマイナス圏に沈む場面も見られましたが、今月に入って再び負の値から正の値に転換。ゼロ水準を上抜けて「トレンドが下降から上昇へと転換した」ことを示唆しています。トレンドライン、ROCでいずれも現在が上昇トレンドであることが確認できました。
ドル円の日足分析
今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。週足で確認した今年1月安値を始点とする上昇トレンド(黄色点線)のほか、3月24日安値を始点とする上昇トレンド(黄色実線)もあり、これらを目処にした押し目買い戦略などが有効となりそうです。
なお、1月安値を始点とする上昇トレンドは5月31日時点(132.00円付近)から1カ月後(133.08円付近)、3月24日安値を始点とする上昇トレンドは5月31日時点(135.44円付近)から1カ月後(138.10円付近)までそれぞれ水準を切り上げていきます。
一方で、今後の上値目処ですがチャート上で目につくのは昨年11月21日高値(チャートの赤丸部分)の142.25円付近。過去に同水準を巡って激しい攻防があった145.00円付近(青色実線)も、今後はレジスタンスとなる可能性を秘めています。また、今回は「一目均衡表の水準論」でも上値の目標値を探ってみましょう。
チャート上の青丸で囲った部分を基に計算した均衡点ですが、N計算値とNT計算値はすでに上抜けているので今回は除外。V計算値は146.18円、E計算値は148.59円となります。この辺りも意識しておくとよさそうです。
今後のイベントは
最後に今後1か月間の重要イベントも確認しておきます。最大の注目は6月13-14日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)です。今回は経済・金利見通しも同時に公表されるため、FOMC参加メンバーによる政策金利見通し(ドットチャート)も注目されます。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
6月2日 米国 5月雇用統計
6月5日 米国 財務長官が指摘したデフォルト期限
6月13日 米国 5月消費者物価指数(CPI)
6月13-14日 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)
6月15-16日 日本 日銀・金融政策決定会合
6月23日 日本 5月全国消費者物価指数(CPI)
6月30日 米国 5月個人消費支出(PCEコア・デフレーター)