今回解説していく通貨はドル円です。日銀は昨日まで開催されていた金融政策決定会合で、現状の緩和政策を維持する方針を決定。植田日銀総裁は会見で「物価目標の実現確度、少しずつ高まっていると判断」「マイナス金利解除しても極めて緩和的な環境が続く」などの姿勢を示しましたが、概ね市場予想通りの内容となりました。
日銀の金融政策を無難に通過し、市場の注目は来週に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)へと移ることになりましたが、チャート上でもドル円の状況を確認していきましょう。
ドル円の週足分析
下図のチャートはドル円の週足チャートになります。前回(11月29日)からの推移を確認すると、昨年11月13日につけた151.91円を上値に調整売りが年末にかけて進み、12月28日には一時140.25円まで下落する場面も見られました。ただ、節目の140.00円手前では下げ渋る動きとなり、直近では148円台まで買い戻しが入っています。
これまでの動きから考慮すると、昨年1月安値(127.23円)を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)がサポートとして機能したようです。今後もこの上昇トレンドラインをサポートとした押し目買いが基本的には有効となるでしょう。トレンドラインは本日時点で140.30円台に位置しており、1カ月後には141.40円台まで切り上げる見込みです。
一方、上値は昨年11月13日高値(151.91円)や2022年10月21日高値(151.95円)など(いずれもチャート上の丸で囲った部分)が目処になりますが、今回は前述した上昇トレンドラインを基に複数の「チャネルライン」も引いてみました(チャート上の黄色点線)。こちらも押し目買い戦略時の利食いポイントとして機能する可能性があるため、利用してみてください。
ドル円の日足分析
今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)、およびチャネルライン(チャート上の黄色点線)は週足分析で紹介したものと同じものです。
気になるのは今回の上昇が一番下方に位置するチャネルラインで抑えられたように見えること。ここからの上値追いは慎重に行うべきかもしれません。
その一方で、今回のチャートに追加した日足の「一目均衡表」によると、転換線が基準線を上回って推移しており、価格線も抵抗帯(雲)を上抜け、遅行スパンは26日前の価格線を上回っています。いわゆる「三役好転」と呼ばれる強い買いシグナルが点灯している状態です。
昨年の上昇局面の際に一目均衡表の雲がサポートとして機能していたことも考慮すると、今後も価格線と雲の関係には特に注目しておきたいところです。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は米国の金融政策。今回の米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利が据え置かれるとの予想となっており、ポイントは声明文で今後の政策行動について示すガイダンスを変更するかどうか。市場では次回FOMC(3月19-20日)からの利下げ観測も根強く、声明文やパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見を受けて、相場が大きく変動する可能性も高いでしょう。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
1月26日 米国 12月PCEコア・デフレーター
1月30-31日 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)
2月2日 米国 1月米雇用統計
2月13日 米国 12月消費者物価指数(CPI)