今回解説していく通貨はNZドル米ドルです。NZ準備銀行(RBNZ)は8月14日に開催された金融政策決定会合で、予想外の利下げを決定。政策金利を5.50%から5.25%へと引き下げ、2020年3月以来となる緩和方向へと舵を切りました。また、9月には米連邦公開市場委員会(FOMC)でも利下げが実施されており、今後は両中銀の利下げペースに焦点が当たることになりそうです。では、チャート上でもNZドル米ドルの状況を確認していきましょう。
NZドル米ドル週足分析
下図のチャートはNZドル米ドルの週足チャートになります。
前回の分析時(7月24日)からの推移を確認すると、「三角保ち合い」をどちらに抜けていくか注目されていましたが、まず試したのは下方向でした。7月末から8月初旬にかけて、2022年10月安値を始点とした上昇トレンドライン(チャート上の青色実線)を下抜けましたが、前回指摘した直近安値(今年4月につけた0.5852米ドル)を明確に下抜けるには至らず。
すると今度は上方向を試す動きとなり、2021年2月高値を始点とする下降トレンドライン(チャート上の黄色実線)を上抜け。さらに直近の高値(今年6月につけた0.6222米ドル)も上抜けたため、「三角保ち合い」は上方向にブレイクという形で決着しています。
3年以上続いた下降トレンドラインをブレイクしたわけですから今後のさらなる上昇を期待したいところですが、チャート下部に追加した「DMI」で確認すると、+DI>-DI(上昇トレンド)ではあるものの、トレンドの強さを示すADXが低位で推移しており、まだ強い上昇トレンドには至っていないことがうかがえます。
目先は昨年7月高値の0.6412米ドルや昨年2月高値の0.6538ドル(いずれもチャート上の丸で囲った部分)などの直近高値を上抜けて、上昇に弾みをつけたいところです。
NZドル米ドルの日足分析
今度は日足でも見ていきます(下図のチャート、9月30日執筆時点)。今回の日足チャートでは「一目均衡表」も加えていますが、現在は転換線>基準線、価格線>抵抗帯(雲)、遅行スパン>26日前の価格線の状態となっており、いわゆる「三役好転」の強い買いシグナルが点灯しています。
日足ベースでははっきりとした上昇トレンドとなっているようですが、8月5日安値を始点とする短期の上昇トレンドライン(チャート上の青色実線)は上昇角度が急過ぎることもあり、今後も維持していくのは困難かもしれません。ただ、この上昇トレンドラインを下抜けたからといって上昇トレンドが終了したわけではないので、今後の下値目処としてはやはり9月11日につけた直近安値(0.6107米ドル、チャート上の丸で囲った部分)を維持できるかに注目しておきましょう。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は9日に予定されているNZの金融政策公表。NZ準備銀行(RBNZ)は年末時点の政策金利見通しを4.92%としており、今回の会合か次回の年内最後となる会合(11月27日)で、現在の5.25%からさらに金利を引き下げる可能性が高まっています。また、期間内ではありませんが、米国では11月5日に4年に1度の大統領選、11月6-7日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が控えていることから、11月初旬は大変な注目を集めることになるでしょう。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
10月4日 米国 9月米雇用統計
10月9日 NZ NZ準備銀行(RBNZ)、金融政策委員会(MPC)
10月10日 米国 9月消費者物価指数(CPI)
10月16日 NZ 7-9月期CPI
10月31日 米国 9月PCEコア・デフレーター
11月1日 米国 10月米雇用統計