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第66回 NZドル米ドルに反発のチャンス到来?

今回解説していく通貨はNZドル米ドルです。NZ準備銀行(RBNZ)は4日に開催された金融政策委員会で市場予想通りに政策金利を5.50%で据え置きました。これで据え置きは3会合連続。声明では「政策金利を当面、制約的な水準で維持する必要がある」との見解が示されましたが、市場ではRBNZのタカ派的な姿勢が後退したと受け止められ、金融政策の公表後には一時NZドル売りが進む場面も見られました。

RBNZの金融引き締めサイクルはすでに終了したとの見方が広がるなか、チャート上でもNZドル米ドルの状況を確認していきましょう。


NZドル米ドルの週足分析

下図のチャートはNZドル米ドルの週足チャートになります。前回の分析時(7月5日)からの推移を確認すると、長期視点では2021年2月高値を始点とする下落トレンド(黄色実線)が継続中。今年2月高値を始点とした下降トレンドライン(黄色点線)は一時上抜ける場面があったものの、すぐに押し戻される格好となっており、大きな状況の変化は見られていません。現在も下落基調が続いていると考えてよいでしょう。

なお、下値のターゲットは過去に2度下げ止まった0.55米ドル前後(2020年3月19日安値の0.5470米ドル、2022年10月13日安値の0.5512米ドル)となります。



その一方でチャート下部に加えた「DMI」によると、+DIと-DIは交差を繰り返すなどはっきりとしたトレンドは見られていないようです。さらにトレンドの強さを示すADXは足もとで急速に低下しており、過去数年の間でも最も低水準に位置しています。チャート上での見た目ほど下落基調は盤石ではないかもしれません。


NZドル米ドルの日足分析

今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。今年2月高値を始点とした下降トレンドライン(黄色点線)は週足分析で紹介したものと同じもの、青色点線は下降トレンドライン基にした「チャネルライン」です。また、日足でもチャート下部に「DMI」を加えています。



週足での分析と変わらず、現在は下落トレンドにあるようですが、足もとでは下げ止まりの気配も見られ始めています。DMIによると7月後半からのしばらく-DI>+DI(=下落トレンド)の状況が続いていましたが、9月後半に入って+DI>-DI(=上昇トレンド)へと転換。ADXが低位置にあることからトレンドは弱いようですが、下落トレンドを抜け出すチャンスがようやく到来したようです。


とは言っても下降トレンドラインは本日(10月11日)時点で0.61米ドル台半ば、1か月後も0.61米ドル付近とまだまだ距離があります。まずは9月末に失敗した0.60米ドル台の定着が最初の目標になるでしょう。一方、9月5日につけた0.5859米ドルを下抜けるような場合は再び下値リスクが高まりますので注意が必要です。


今後のイベントは

最後に今後1か月間の重要イベントも確認しておきます。注目は11月1日に公表される米国の金融政策。NZでは期間内に金融政策の発表は控えていませんが、10月17日に公表される四半期消費者物価指数で予想以上のインフレ鈍化が確認されれば、早期の利下げ思惑が浮上する可能性もあり、注意しておきたいところです。その他のイベントは以下の通りとなります。


今後1カ月の重要イベント

10月12日 米国 9月消費者物価指数(CPI)

10月17日 NZ 7-9月期四半期CPI

10月26日 米国 7-9月期四半期実質国内総生産(GDP、速報値)

10月27日 米国 9月PCEコア・デフレーター

11月1日 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利(会合後にFRB議長の定例記者会見)

11月3日 米国 10月雇用統計

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第1回「誰にでもわかるチャート教室」 相場が不安定だからこそ、チャート分析に頼りたい

為替情報部 アナリスト

岩間 大祐

大学卒業後の2004年に国内証券会社に入社。 外国為替証拠金取引業務に携わった後、金融情報サービス会社にて個人投資家向けの為替情報配信業務を担当。市況サービスのほか、テクニカル分析を軸にした情報を配信する。 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト。

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