今回解説していく通貨はポンド円です。英中銀(BOE)は9月の金融政策決定委員会(MPC)で予想通りに政策金利の据え置きを決定(8対1)。その後も複数の英MPC委員から利下げに慎重な発言が聞かれており、金利先安観は高まっていない状態です。日銀の追加引き締め観測が足もとで後退していることも合わせて、日英金利差の縮小もしばらくは進まない見込み。では、チャート上でもポンド円の状況を確認していきましょう。
ポンド円の週足分析
下図のチャートはポンド円の週足チャートになります。前回の分析(7月10日)からの推移を確認すると、政府・日銀による円買い介入および日銀の追加利上げによってドル円・クロス円が総崩れとなるなか、ポンド円も急落。昨年3月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色点線)を下抜けて、わずか1カ月あまりで約28円の大幅下落となりました。ただ、足もとでは買い戻しが入っており、執筆時点(7日)で195円台まで下値を切り上げています。
2020年3月安値を始点する上昇トレンド(チャート上の黄色実線)は維持していますので、長期の上昇トレンドが崩れたわけではないようですが、今回チャート下部に付加した「DMI」によると、やや-DI>+DI(下落トレンド)になっているものの両者は急接近しており、はっきりとした方向感はうかがえない状況。さらにトレンドの強さを示すADXも低下傾向にあり、今しばらくは相場の状況を慎重に見極める必要がありそうです。
ポンド円の日足分析
では、今後を占うために日足のトレンドも確認しておきましょう(下図のチャート)。チャート上の黄色実線は週足分析で紹介したものと同じものです。
8月5日の直近安値を始点として短期の新たな上昇トレンドライン(黄色点線)を引き直しましたが、平行したチャネルライン(黄色点線)も考慮すると、短期的には上昇トレンドにあると考えてよさそうです。この上昇トレンドチャネルに沿っていく流れが維持できれば、週足分析でもいずれ上昇トレンドに回帰したと確認できるでしょう。
今回はチャート上に「フィボナッチ・リトレースメント」を加えましたので、こちらで今後の上値目標を探っていきましょう。7月11日高値-8月5日安値の下落幅に対する半値戻しはすでに達成しており、次の目処は同61.8%戻し水準が位置する197.40円台。さらに7月30日につけた直近の戻り高値199.47円(チャート上の赤丸で囲った部分)もレジスタンスとして意識されそうです。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は日・英の金融政策。両中銀とも短期的に政策金利を変更する可能性は低いものの、相場に影響を与える大きなイベントであることには変わりありません。また、足もとでは政府当局者からの発言で円相場が動意づいていることもあり、衆院選の行方にも注意しておきたいところです。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
10月16日 英国 9月消費者物価指数(CPI)
10月18日 日本 9月全国CPI
10月27日 日本 衆議院選挙
10月30-31日 日本 日銀・金融政策決定会合
11月7日 英国 英中銀、政策金利発表
11月7日 英国 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨