今回解説していく通貨は豪ドル円です。豪準備銀行(RBA)は今月開催された金融政策決定理事会で、政策金利を現行の4.10%で据え置くことを決定。もっとも、声明文では今後の追加利上げの可能性に言及しており、短期金融市場では年末にかけて1-2回程度の追加利上げを見込んでいます。
今年に入ってから利上げペースを緩めつつあるRBAですが、依然として大規模緩和策を続ける日銀との金融政策の違いは大きく、今後も円売り・豪ドル買いの材料として意識される可能性は高いでしょう。では、チャート上でも豪ドル円の状況を確認していきましょう。
豪ドル円の週足分析
下図のチャートは豪ドル円の週足チャートになります。前回の分析(4月12日)からどのように推移したかを見ていきますと、今年5月に入って昨年9月高値を始点とする下降トレンドライン(チャート上の青色実線)をブレイク。過去にレジスタンスとして意識されていた水準(黒色実線)がサポートとして機能し、その後は買い戻しが進んでいます。
ただ、今年6月中旬につけた直近高値が昨年9月の前回高値を超えられなかった点には注意が必要となります。本格的な上昇トレンドへの転換にあたって前回高値の上抜け如何は重要なポイントですので、ここから再び上値を試すことができるか注目しておきましょう。
豪ドル円の日足分析
今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。昨年9月高値を始点とする下降トレンドライン(青色実線)は週足分析で紹介したものと同じものです。また、今回は3月24日安値を始点とした短期の上昇トレンドライン(黄色実線)を加え、チャート下部には「ROC」を追加しました。
週足分析でも確認したように、6月19日につけた直近高値(97.68円)は昨年9月13日高値(98.60円)に届かなかったほか、6月19日以降も上値を切り下げるような展開となっています。また、ROCは7月に入ってゼロ水準を下抜けており、「下降トレンドへと転換した」ことを示唆。足もとでは調整がさらに進む可能性が高まっています。
前述した短期の上昇トレンドライン(黄色点線)は本日時点で92.20円付近、1カ月後に93.90円付近まで切り上がる見込みですが、足もとの調整色を考慮すればここからの押し目買いは慎重に行いたいところ。できれば上昇トレンドラインが再びサポートとして機能したことを確認してからにした方がよさそうです。
今後のイベントは
最後に今後1か月間の重要イベントも確認しておきます。注目は8月1日の豪金融政策。今月の会合で据え置きを決めた豪準備銀行(RBA)が再び利上げに動くか注目されます。
また、一部市場では日銀がイールドカーブ・コントロール(YCC)の修正に動くのではないかとの思惑も広がっており、日銀会合にも注意しておきましょう。今回の会合では経済・物価情勢の展望(展望レポート)も併せて公表されます。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
7月18日 豪州 豪準備銀行(RBA)、金融政策会合議事要旨公表
7月21日 日本 6月全国消費者物価指数(CPI)
7月26日 豪州 4-6月期四半期CPI
7月26日 豪州 6月CPI
7月27-28日 日本 日銀金融政策決定会合(28日の会合後には植田総裁の記者会見)
8月1日 豪州 RBA、政策金利発表
8月4日 豪州 RBA、四半期金融政策報告