今回解説していく通貨はNZドル円です。NZ準備銀行(RBNZ)は前週に開催された年内最後の金融政策決定会合で予想通り50bpの利下げを決定(4.75%から4.25%へ)。来年以降についても金融緩和方針を維持する姿勢を示しました。
一方で、日銀は今月の金融政策決定会合で追加利上げを行うとの思惑がくすぶっており、日・NZ間の金利差は今後も着実に縮小していくことになるでしょう。金利差縮小への思惑が相場に与える影響が注目されますが、チャート上でもNZドル円の状況を確認していきます。
NZドル円の週足分析
下図のチャートはNZドル円の週足チャートになります。前回の分析(8月21日)からどのように推移したかを見ていきますと、8月に83.07円まで失速した後は上下を繰り返しながらも下値を切り上げる展開となり、11月7日は92.47円まで反発。ただ、その後は再び上値が重くなり、足もとでは88円台まで押し戻されています。
8月からの反発局面では何度か2020年3月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)を回復する場面も見られましたが、定着には至りませんでした。その後の頭の重さを鑑みても上昇トレンドへの回帰には失敗したと見てよさそうです。
さらに今回のチャートに追加した「一目均衡表」によると、前週にはっきりと価格線が雲を下抜けてきたことで、転換線<基準線、遅行スパン<価格線も含めて強い売りシグナルとされている「三役逆転」が点灯。目先は下値リスクに警戒する必要がありそうです。
NZドル円の日足分析
今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。今回はさらに「DMI」もチャートに加えてあります。
「DMI」から状況を確認すると-DI>+DIとなっており、現在が下落トレンドであることを示唆。さらにトレンドの強さを示すADX が8月から低下基調を続けてきたにもかかわらず、足もとで上昇し始めている点も気になるところです。
92円台で何度も上値の重さを確認(チャート上の四角で囲った部分)した後の下落ということもあり、ここにきて新たな下落トレンドが始まった可能性も当然考慮すべきでしょう。
なお、本格的な下落トレンドが始まったという仮定に基づくと、今後は9月16日安値の86.27円や8月5日安値の83.07円(チャート上の丸で囲った部分)などが下値の目標となりそうです。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきましょう。注目は年内最後となる日銀の金融政策決定会合。植田総裁からは追加利上げへの地ならしと思われる発言が伝わっており、市場では利上げを織り込む動きが加速しています。一方、NZ準備銀行(RBNZ)の次回会合は来年2月19日としばらく時間が空くことになります。それまでは物価統計などを確認しながら次回の会合に備えることになりそうです。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
12月18-19日 日本 日銀金融政策決定会合
12月20日 日本 11月全国消費者物価指数(CPI)