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第121回 豪ドル米ドル、慎重な判断が求められる局面

今回解説していく通貨は豪ドル米ドルです。豪州ではインフレがようやく落ち着きつつありますが、豪準備銀行(RBA)は依然としてタカ派姿勢を維持しており、金融緩和に転じるのは早くて来年前半との見方が広がっています。米国はいち早く利下げに転じたため、豪米金利差は今後も縮小していくことになりそうです。

一方で、トランプ氏の大統領返り咲きによって、今後は「トランプ・トレード」による米ドル高が進むとの思惑も。金融政策だけではなく、米国の経済政策などもにらんで不安定な相場となることが見込まれますが、チャート上でも豪ドル米ドルの状況を確認していきましょう。


豪ドル米ドルの週足分析

下図のチャートは豪ドル米ドルの週足チャートになります。前回の解説(7月31日)からの推移を確認すると、2020年3月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)を8月に一時下抜けたものの、売りの勢いは続かず。翌月には2021年2月高値を始点とする下降トレンドライン(チャート上の青色実線)を上抜ける場面も見られましたが、買いの勢いも長続きはせずに失速しました。



現状では「三角保ち合い」と呼ばれる状態が続いていると考えてよさそうです。そうであれば「保ち合い」をブレイクした方向に素直についていくことが無難となるのでしょうが、前述したような「ダマシ」が発生することも考慮すると、「保ち合い」ブレイクの判断はしっかりと行いたいところです。候補となりそうなポイントは以下の3点でしょうか。


①   最も積極的に仕掛けるのであれば従来の上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)か下降トレンドライン(チャート上の青色実線)を再び抜けた時点。

②   次に8月安値と9月高値を考慮した新たな上昇トレンドライン(チャート上の黄色点線)か下降トレンドライン(チャート上の青色点線)を抜けた時点。

③   慎重にいくのであれば8月安値の0.6350米ドルか9月高値の0.6942米ドル(いずれもチャート上の丸で囲った部分)を抜けた時点。


豪ドル米ドルの週足分析~続き

ここまで「三角保ち合い」を前提とした分析をお話してきましたが、今度は違った視点でも見ていきましょう。下図のチャートも豪ドル米ドルの週足チャートになります。2023年10月安値と今年9月高値を基準にした平行線(チャート上の青色点線)、2022年10月安値と2023年1月高値を基準とした平行線(チャート上の黄色実線)を加えました。



平行線を引いたことからお分かりいただけると思いますが、現在の状況は1年半から2年以上続くレンジ相場と捉えることもできそうです。チャート下部に追加した「DMI」で確認しても、トレンドの強さを示すADXは2023年以降低位での推移が続いており、2年近く強いトレンドが形成されていないことを示唆しています。


こうした状況を考慮するとやはりトレンドの判断には慎重な姿勢が求められるでしょう。現状が「三角保ち合い」があることも確かですが、「保ち合い」ブレイクを判断する際には「DMI」などでトレンドの強さなどが現れているかも併せて確認しておきたいところです。


今後のイベントは

最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は豪米の金融政策。豪州では12月9-10日に、米国は期間内ではありませんが12月17-18日に年内最後の金融政策決定会合が予定されています。現状は豪準備銀行(RBA)が金利据え置き、米連邦公開市場委員会(FOMC)が追加利下げを実施する見込みですが、来年以降の金融政策方針についても改めて確認しておきましょう。その他のイベントは以下の通りとなります。


今後1カ月の重要イベント

11月13日 米国 10月消費者物価指数(CPI)

11月27日 豪州 10月CPI

11月27日 米国 10月PCEコア・デフレーター

12月6日 米国 11月米雇用統計

12月9-10日 豪州 RBA理事会

12月11日 米国 11月CPI

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第123回 トルコリラ円、週足でのトレンド転換はまだまだ遠く
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第121回 豪ドル米ドル、慎重な判断が求められる局面
第120回 ランド円、一目均衡表の雲上限が今後のポイントに
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第118回 米大統領選のアノマリー
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為替情報部 アナリスト

岩間 大祐

大学卒業後の2004年に国内証券会社に入社。 外国為替証拠金取引業務に携わった後、金融情報サービス会社にて個人投資家向けの為替情報配信業務を担当。市況サービスのほか、テクニカル分析を軸にした情報を配信する。 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト。

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