今回解説していく通貨はドル円です。先週には日米で金融政策イベントがありましたが、米連邦公開市場委員会(FOMC)は約4年半ぶりの利下げを決断。日銀は政策金利を維持したものの、追加引き締め方針は維持しており、日米の金利差を巡る思惑も久しぶりに変化した感があります。今後は日米の政局にも注目が集まるところですが、まずはチャート上でドル円の現在の状況を確認していきましょう。
ドル円の週足分析
下図のチャートはドル円の週足チャートになります。前回の分析(7月17日)からの変動を見ていくと、昨年末安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色点線)はすぐにブレイク。さらに2023年1月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)も下抜けて、1年半あまり続いた上昇トレンドが終了した格好となりました。
今回チャート下部に追加した「DMI」でみても-DI>+DIとなっており、現在が下落トレンドであることを示唆。トレンドの強さを示すADXも上昇しており、週足ベースで見る限りでは一段の下値リスクを警戒すべき局面にあると言えるでしょう。
ここからは2023年7月安値の137.25円(チャート上の丸で囲った部分)が下値の目処に。同水準を下回ると前述した上昇トレンドラインの視点になった2023年1月安値の127.23円もあるいは視野に入ってくるかもしれません。
ドル円の日足分析
今度は短期的な視点で反発の可能性についても探ってみましょう。下図のチャートはドル円の日足チャートです(23日執筆時点)。7月中旬から始まった急ピッチでの下落局面(チャート上の青色実線)を終えて、現在はより穏やかな下落局面(チャート上の青色点線)に移行していることがお分かりいただけると思います。
目先はこの穏やかな下降トレンドラインのブレイクが目標となりますが、より反転の可能性を高めるという意味ではやはり直近高値の上抜けが肝要になります。チャート上の丸で囲った部分(9月3日高値の147.21円、8月15日高値の149.39円)ですね。
その際にチャート下部に追加した「DMI」が+DI>-DI(上昇トレンド)を示唆していれば、さらに反発期待も高まります。現在は短期的な反発に至るチャンスでもあるため、しばらくは注意してみておきましょう。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。期間内に日米の金融政策会合は予定されておらず、年末にむけた中銀の動向を見通すため、各重要指標を丹念に確認していく期間となるでしょう。その他では日米政局にも注目。日本では9月27日に自民党総裁選が実施され、新総裁のもとで近く衆院の解散・総選挙が行われる見込み。また、米国では4年に1度の大統領選を11月5日に控えて、1カ月後の今頃は最大の注目イベントとなっているはずです。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
9月27日 日本 自民党総裁選
9月27日 米国 8月PCEコア・デフレーター
10月4日 米国 9月米雇用統計
10月10日 米国 9月消費者物価指数(CPI)
10月18日 日本 9月全国CPI