今回解説していく通貨はユーロ円です。欧州中央銀行(ECB)は10月26日に開催された定例理事会で11会合ぶりの利上げ見送りを決定。日銀は10月30-31日に開催された金融政策決定会合で長期金利の事実上の上限だった1%を「めど」とし、一定程度超えることを容認する方針を明らかにしました。両中銀ともに金融政策の新たな方向性が見られ始めていますが、ユーロ円は足もとで底堅い地合いが継続しています。では、チャート上でもユーロ円の状況を確認していきましょう。
ユーロ円の月足分析
下図のチャートはユーロ円の月足チャート(10月30日時点)になります。前回の分析時(6月21日)にも示したように、過去に重要なポイントとして意識されていた節目の150.00円を上抜けたことで上値余地は拡大。長期視点では2022年3月安値を始点とする上昇トレンド(チャート上の黄色実線)が継続中であり、明確な上昇トレンドは維持されています。
チャート上でも明らかですが、ここからレジスタンスとして機能しそうなポイントは近場には見当たらず、ターゲットは2008年7月高値の169.96円(チャート上の赤丸部分)になります。
チャート下部に追加した「DMI」でも+DI>-DI(上昇トレンド)の構図がはっきりとしており、トレンドの強さを示すADXも上昇傾向。月足視点では不安な材料は見当たりません。
ユーロ円の日足分析
今度は週足でも見ていきます(下図のチャート、10月30日時点)。2022年3月安値を始点とする上昇トレンド(黄色実線)は週足分析で紹介したものと同じものです。さらに前述の上昇トレンドを利用して今回は「チャネルライン」も引いてみました。
月足分析と同じく不安な点はないように見えますが、8月から3カ月間ほど150-160円のレンジ内にとどまっているようです。節目の160.00円突破を狙って何度かトライしており、目先はこの160円台定着が上方向のポイントとなるでしょう。なお、チャネルラインは今週163円台半ば付近で推移。1カ月後には164.80円付近まで切り上がる予定となっており、160円超えの後はこちらにも注目しておきましょう。
一方で、足もとの伸び悩みが反映された格好となっているのがチャート下部に追加した「DMI」。トレンドの強さを示すADXは失速し、+DIと-DIは急速に接近しており、週足ベースでは明確な上昇トレンドとは言い難い状況です。今後に-DIが+DIを上抜けていく(売りシグナル)可能性もあるだけに注目しておきたいところです。
今後のイベントは
最後に今後1か月間の重要イベントも確認しておきます。日・欧ともに金融政策の発表を終えたばかりとあって、期間内の重要なイベントは控えめ。一つ一つの指標を確認していく必要はあるものの、相場を大きく動意づかせるような材料はないようです。なお、本日(11月1日)公表の米連邦公開市場委員会(FOMC)金融政策については、相場全般に影響を及ぼす可能性が高く、ユーロ円も間接的に影響を受ける可能性があります。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
11月24日 日本 10月全国消費者物価指数(CPI)
11月30日 ユーロ圏 11月消費者物価指数(HICP、速報値)