今回解説していく通貨は南アフリカ・ランド円です。政府・日銀による為替介入や日銀の追加利上げなどを受けた急落が一巡し、ランド円は再び7月来の高値をうかがう水準まで回復してきました。その間には南アフリカ準備銀行(中央銀行、SARB)が約4年ぶりとなる利下げを決定したものの、相場への影響は限られているようです。今後も上昇基調が継続していくのか、チャート上でランド円の状況を確認していきましょう。
ランド円の週足分析
下図のチャートはランド円の週足チャートになります。前回の分析(8月7日)からどのように推移したかを見ていきますと、2020年4月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)を下抜けることなく買い戻しが入っており、2020年来の上昇基調は継続していることが確認できました。
今後のターゲットになるのは7月の急落が起きる前につけた直近高値の8.97円となるでしょう。2018年2月高値の9.29円(いずれもチャート上の丸で囲った部分)なども含めて8.90-9.20円台を上抜けられるかどうか注目されます。
一方でチャート下部に追加した「DMI」によると、現状は+DI>-DI(上昇トレンド)となっているものの、トレンドの強さを示すADXが低下基調を辿っている点は気になるところです。
ランド円の日足分析
今度は短期的な視点でもランド円の動向を確認していきましょう。下図のチャートはランド円の日足チャートになります。チャート上の黄色実線は週足分析で紹介した2020年4月安値を始点とする上昇トレンドラインです。また、新たに8月5日安値を始点とする短期の上昇トレンドライン(チャート上の黄色点線)、「一目均衡表」も追加しています。
一目均衡表でみると、現状は転換線>基準線、価格線>雲、遅行スパン>価格線が成立しており、強い買いシグナルとされている「三役好転」が点灯中。また、今後切り上がっていく雲上限と前述した短期の上昇トレンドラインが今月後半まで重なって推移しています。
このことから今後は短期上昇トレンドラインと一目雲上限が重要なサポート水準として意識されるでしょう。同水準を下抜ける=上昇トレンドの終了ということではありませんが、上昇トレンドラインを割り込むことは雲の中に入り込むことでもあり、同時に「三役好転」の消滅も意味しますので押し目買いを進めづらくなることは間違いなさそうです。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。前週に日銀の金融政策決定会合が開催されたばかりであり、期間内は南アフリカの金融政策公表のみ。もっとも、SARBの利下げについては景気下支え効果を期待する声も大きく、日銀が積極的に追加利上げを進めていくとの思惑が広がらない限り、日・南ア間の金利差縮小を意識した円買い・ランド売り圧力にはつながらないかもしれません。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
11月20日 南ア 10月消費者物価指数(CPI)
11月21日 南ア 南アフリカ準備銀行(中央銀行、SARB)、政策金利公表
11月22日 日本 10月全国CPI