今回解説していく通貨はユーロドルです。欧州中央銀行(ECB)は6月に開催した金融政策決定理事会でついに利下げを実施。約8年ぶりに金融緩和へと舵を切りました。利下げの決定自体は市場の想定通りで、注目は今後の利下げスケジュールだったわけですが、声明文やラガルドECB総裁の会見からはヒントを得られず。
米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始時期についても依然として不透明な状況が続いており、欧米の金融政策をにらみながら、今後もユーロドルは神経質な展開とならざるを得ないでしょう。では、チャート上でもユーロドルの状況を確認していきましょう。
ユーロドルの日足分析
下図のチャートはユーロドルの日足チャートになります。前回の解説(3月27日)からの経過をみていくと、4月に入ってヘッド・アンド・ショルダーズが完成。4月16日に1.0601ドルまで下押す場面もありましたが、その後は6月初旬にかけて1.09ドル台まで買い戻しが入るなど、売りの勢いも長続きはしませんでした。
もっとも、今年の年始からの動きを見る限りでは穏やかな下落基調にあると考えてよさそうです(チャート上の青色実線)。今後は「チャネルライン(チャート上の青色点線)」などを駆使しながら、戻り売り方針で臨みたいところ。ターゲットとなるのは前述した4月16日安値の1.0601ドル、および昨年10月安値の1.0448ドル(いずれもチャート上の丸で囲った部分)となります。
ユーロドルの週足分析
今度は週足チャートでもトレンドを確認していきましょう(下図のチャート)。チャート上の青色実線、青色点線は日足分析で紹介したものと同じものです。週足ベースで見ると前回も指摘した1.05-1.10ドル台を中心としたレンジ相場(チャート上の四角で囲った部分)が続けていることが確認できます。
チャート下部に追加した「DMI」で見ると、現在は-DI>+DI(下落トレンド)になっていますが、トレンドの強さを示すADXが少なくとも2019年以来の水準まで低下しており、週足ベースでは明確なトレンドが確認できていないようです。
今後についてですが、日足チャートで確認できた下落トレンドが続く中で2023年来のレンジ相場をブレイクできるかがポイントになります。ということであれば、昨年10月安値の1.0448ドル(チャート上の丸で囲った部分)の下抜け如何がなおさら重要となるでしょう。同水準を下抜けてレンジを下方向にブレイクできれば、2022年安値の0.9536ドルも視野に入り、下落トレンドがさらに強まる可能性も出てきます。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は7月18日に予定されている欧州中央銀行(ECB)の金融政策。市場のメインシナリオは7月理事会で金利据え置き、9月に追加利下げとなっていますが、声明文などから今後の金融政策のヒントを探りたいところです。また、7月30-31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、米インフレ指標の動向にも注目しておきましょう。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
6月28日 米国 5月PCEコア・デフレーター
7月2日 ユーロ圏 6月消費者物価指数(HICP、速報値)
7月5日 米国 6月米雇用統計
7月11日 米国 6月CPI
7月18日 ユーロ圏 ECB理事会
7月26日 米国 6月PCEコア・デフレーター