前回はトレンドラインからトレンドの継続・転換のタイミングを学んできましたが、今回はトレンドラインの付加要素であるチャネルラインについてお話していきます。
チャネルラインの引き方
まずは、安値同士を結んだサポートラインを引いてみましょう。下図は前回に使用したドル円のチャートになりますが、チャネルラインとは節目となる高値を起点として、サポートラインと並行に引いた線のことを意味します。
同様に高値同士を結んで引いたレジスタンスラインの場合は、節目となる安値を起点として、レジスタンスラインと並行に引いた線となります。
チャネルラインの主な使用手段はトレンドラインをベースに建てたポジションを手仕舞う際の目標値、もしくは短期的に逆のポジションを持つ際の目標値です。
チャネルラインを利用することで、4月末の高値をロングポジションの利益確定を入れる水準、または短期的なショートで参入する水準として利用することができました。
その一方で、当然ながら3月後半の高値を起点としたチャネルラインも引けるのでは?という疑問も生じると思います。
その通りでして、チャネルラインもトレンドラインと同様に複数引くことが可能です。トレンドラインを元に機械的に決まるラインであるため、チャネルラインは複数引いたうえで、より多くの節目が接近するラインを選別する必要があるとされています。
外国為替市場ならではの特徴
ここからは少し話を変えて、外国為替市場ならではの特徴について説明していこうと思います。
外国為替市場は1日当たりの取引量が約6.6兆ドルとも言われる世界最大の市場規模を誇りますが、株式のような取引所があるわけではなく、その中心は銀行同士が通貨を売買する「インターバンク市場」です。
そのため詳細な売買高などを把握することは難しく、売買高や需給などを基にしたテクニカル分析を取り入れにくいという特徴があります。
その一方で、外国為替市場は土日や元日などの一部祝日を除いて24時間取引が可能な市場であり、時間帯ごとに主な参加者が違うため、それぞれ特徴も異なります。
下図はドル円のチャート。時間帯ごとに区切りを入れていますので、主な参加者と特徴を確認してみて下さい(夏時間終了後は1時間ずつ後ずれします)。
① アジア時間 重要度C
・前日のNY勢が退場する少し前から入れ替わるようにオセアニア(ニュージーランド、オーストラリア)勢が参入。8時頃から東京、続いて香港、シンガポール勢が参入。アジア勢主体の取引時間帯となりますが、残念ながら現在の為替市場では存在感が薄く、取引額も相対的に低いです。
② ロンドン午前 重要度B
・欧州勢が参入。さらにロンドンにある世界2番目の金融街シティーを有する英国勢が参入してきます。欧州通貨などはアジア時間にほとんど動きがなくても、この時間帯から急に活況を呈することもよくあります。
③ ロンドン午後 重要度A
NY勢が参入。世界の金融の中心地であるウォール街も加わることで、この時間帯が最も取引量が多くなります。また、米雇用統計などの重要な米経済指標が数多く発表され、市場の注目を集めます。
④ NY午後 重要度B
ロンドン勢が退場。NY勢の動意も鈍くなり、値動きも徐々に緩慢となっていきます。ただ、米連邦公開市場委員会(FOMC)による米金融政策の公表はこの時間帯。その日ばかりは活発な取引が続きます。
取引参加者が多い時間帯の節目ほど重要
さて、ここまで外国為替市場の1日の流れについて説明したことには訳があります。というのも、節目となる高値・安値を選択する際には、先ほど説明した時間帯ごとを重要度が役に立つのです。
将来に影響を及ぼす価格の節目は、当然ですが多くの参加者によって形成されたものほど重要視される可能性が高く、トレンドラインを引く場合やトレンドの継続・転換を判断する際、アジア時間に形成された高値・安値などは残念ですが上手く機能しないことも多いです。
特に短期的なトレンドを分析する際には、節目となる高値・安値を「いつ付けたか」についても注意しておくとよいでしょう。